編集者の学校

【編者】講談社Web現代【出版社】講談社
【発刊年月】2001年11月22日【本体価格】2,800円
【ページ数】461p【ISBN】4-06-210835-6

事件も現場も、テレビなどのメディア空間においてバーチャルなものとしてしか存在し得なくなっているんだ。たとえば事件が起きるとマスコミが大挙して押し寄せ、瞬く間に映像化して流す。すると初めて「事件の現場」ができるのです。
本書 324p より抜粋

大冊である。書店にて手にとって見ればわかる。軽装なので軽いが、厚みに圧倒されそうな本だ。南伸坊装丁の表紙の迫力にも、思わずたじろいでしまう。そして、腰帯にはこうある「マスコミで働く諸君!マスコミを志望する学生諸君!必読書です。」と。えっ!普通のビジネスパーソンには無縁?

本書の内容はというと、編集のイロハから取材のノウハウまでを、その業界ではカリスマと呼ばれている人たちが、少ない紙数ながら(なにせ登場する編集者やライターが総勢40名)初めて明かした、というふれこみである。さて勘の鋭い読者なら、何故この本を取り上げたのか、ピンと来ただろう。

まず読み物として本書は面白い。ここにノウハウを開陳しているカリスマたちのことは、読者も一度ならずとも目にしているはずである。その有名人たちの「楽屋落ち」を垣間見ることが出来るのだ。作家達が編集者に求めている資質、ライターたちが執筆する時の気概…サクッと楽しく読めてしまう。

例えば、天才アラーキーは、今の編集者たちは「礼節をなくしている」と嘆く。あの「破天荒」な人が、礼儀を説くなんて!(笑)。現場に行かないと事件はわからないと力説するジャーナリストが多い、一方で、現場百遍なんてもう古いと言い切るライターもいて、一冊の中での混在が笑えてしまう。さて、ビジネスパーソンに何故この本を読めと勧めるのか。理由は簡単。必ず役に立つからである。本書は一見すると「編集」というごく限られた「スキル」について紹介している本に見える。しかし、この本にちりばめられている「方法論」は、実のところビジネスの現場に役立つことばかりだ。

作家が編集者に求めること=クライアントや上司が自分に求めること…に酷似していることが、読み始めるとすぐにわかる。編集者に求められていることは、まとめてしまうと「熱意」なのだが、その「熱意のベクトル」をどこへ向ければ、気難しい人たちは納得するのか、本書は教えてくれる。

また、ライターたちの取材ノウハウ=情報収集のプロたちに、その方法を学ばない手はないだろう。書くことに関するツボ=伝わる文章を書くためのエッセンスを今のビジネスパーソンは身に付けておいて損は無いはずである。腕一本で食べている人たちの「方法」は見習うべき点だらけなのだ。

さらに本書は、情報発信者たちが「何を考えて情報を発信しているのか?」と言うことを知るための格好の材料といえるかもしれない。世の中に発信されている情報に対して、自分なりの視座視点を持つための「教科書」にもなるはずである。二重丸のお勧め本。ぜひ、手にとって見て欲しい。