プレゼンの成功法則

【著者】谷口正和【出版社】東洋経済新報社
【発刊年月】2002年02月07日【本体価格】1,200円
【ページ数】165p【ISBN】4-492-04164-8

現状のプレゼンは、顕在化されたデータとテクニックに頼りすぎるあまり、同質横並びの罠にはまり、ほとんど差異性を持たなくなってきている。選ぶ方も確信が持てないことにより、いくつものプレゼンを受けることによって、多彩さの中に答えを見出そうとしている。似たようなネクタイの中からお気に入りを探し出そうとしているようなものだ。
本書 324p より抜粋

想像力が疲弊した時代に向け、どのような新鮮な着眼、視点、発想により、次なるパラダイムを開くか・・・この一点に向けて本書は書かれた、と本文にある。しかし、本誌の読者に本書を紹介する理由は、そこにない。では推す理由は何か?プレゼンは、現代のビジネス社会での「必須力」だからだ。

一昔前、プレゼンなる言葉は業界用語だった(笑)。しかし、本書カバーにはこうある。プレゼン、それはすべてのビジネスコミュニケーションの基本だと。今や、プレゼン能力を身に付けていなければ、厳しいビジネス社会は渡っていけない、そんな調子だ。そして、それは実に正しい指摘でもある。

ビジネスの場において、交渉や提案、顧客へのアプローチなどを、ごく日常的に行っているはずだ。「根回し」や「あうん」といった「古いアプローチ手法」が通用しなくなりつつある今、相手に何かを伝えなくてはならない=相手を説得しなくてはならない時、プレゼン能力がきっとモノを言うはず。

本書は小冊子ではあるが、プレゼンを行うために必要なテクニックがぎっしり詰まっている。プレゼンを行うための「情報整理の手法」をはじめてとして、情報を「説得材料に変換するためのスケール」や、プレゼンテーション時の「アクションテクニック」まで、実に盛りだくさんなのだ。

例えば、情報は集められるが、そのハンドリングに悩むビジネスパーソンは多いと思う。本書では、たくさん集めた情報を、まずは100行にまとめ、それを10行→1行→一語に圧縮してしまう「コンセプト・キーワード化」の手法を提示している。やってみるとわかるが、便利なテクニックだ。

また、プレゼンプランを考えるために必要なスケール(=チェックリストのようなもの)も、わかりやすく提示されている。プレゼンする内容全体の構成を行うときは忘れてはならない項目を10のTとし、THEME、TITLEなど、それぞれを解説をしてくれている。

実は本書、プランニングを生業にしている人間にとっては、当たり前の内容が多い。しかし、その「プロのノウハウ」が、一般のビジネスパーソン向けに、これほど易しく噛み砕かれている本は、記憶にない。隅から隅まで精読すれば、人に「思い」を伝えるために、しなくてはならないことが、確実に見えてくるだろう。あらゆるビジネスパーソンに、一読をお勧めしたい。