クチコミはこうしてつくられる

【著者】エマニュエル・ローゼン【訳者】濱岡 豊
【出版社】日本経済新聞社
【発刊年月】2002年01月18日【本体価格】1,800円
【ページ数】359p【ISBN】4-532-14938-X

私たちは皆つながっている。新製品に興奮したとき、サービスのわるさに腹 が立ったとき、なにがよいか判断に迷ったとき、人と話さずにはいられない。
そう、私たちは皆「見えないネットワーク」で結ばれている。
本文 カバー見返しより 抜粋

マーケティングの現場で働いている人間にとって「クチコミ」は厄介な存在である。自分が担当する製品が優れていて、良いエピソードがクチコミに乗って流れると、その製品のヒットは約束される。しかし、セールスサイドでクチコミをコントロールしようと思っても、それは難しい。

本書は、厄介者でミステリアスな動きを見せる「クチコミ」について、そのメカニズムをわかりやすくまとめたものである。人はなぜ「つい話したくなる」のか、情報が人と人とのネットワークを通じて伝達(=伝染と言った方が適切か)していく様を、豊富な事例を挙げ解説している。

まず「バズ」という聞き慣れない言葉がまず登場する。本来の意味は、「低いブンブンうなるような音、ざわめき、騒音」、または「うわさ、風聞、風説」であるこの言葉を、本書では「ある時点における特定の企業や製品に対するコメントの合計」と定義している。

クチコミとは、ある人たちが形成した、製品やサービスなどについての「バズ」なのである、電話やメール、果ては夕食の話題などを通じて伝わるコメント、そのすべてのことを指している、と、述べられている。カンタンにまとめると難しくなってしまうが、詳しい事例で、容易に理解できる。

さらに、多くのマーケッターが、その重要性を無視している「クチコミ」をコントロールするために、人と人との「つながり」と、つい人に話したくなる「商品特徴」について、詳細に言及している。キーワードは「ネットワークのハブ」と「感染型製品」だ。

「ネットワークのハブ」とは、クチコミが広がる過程において、その製品やサービスのよさを「多くの人に伝える」存在のことを言う。従来のマーケティングでは「オピニオンリーダー」と呼ばれていた人だ。本書では、彼らに「クチコミの種」を埋め込むアイデアも提案されている。

「感染型製品」とは、人に伝えたくなる製品やサービスの持ついくつかの特性を紹介している。感情的な反応をかき立てる(=インパクトある車)・利用者が増えるほど便利になる(=ICQのようなサービス)など、なるほど人に言いたくなる製品やサービスがあると言うことがわかる。

本書は、マーケティング関連業種に就いていなくとも、十分に興味深い一冊である。自分たちの日常の中にも「情報を広めている、そして、情報を分析している」という、クチコミのすべてがあるハズだ。ネットワーク社会に生きる私たちが、持っておくべきリテラシーが、実はこの一冊の中にある。