明和電機 魚コードのできるまで
【著者】土佐信道【出版社】NTT出版
【発刊年月】2002年03月25日【本体価格】2,300円
【ページ数】175p【ISBN】4-7571-5033-4
「なぜヒラメくの?」という質問には大変答えにくいのですが、「どこで、どんなときにヒラメくの?」には答えられます。一番多いのが「寝おきスパーク」です。
本文 166p より 抜粋
明和電機と聞いてピンと来る人がどのくらいいるのかは分からない。明和電機とは、本書の著者である土佐信道プロデュースによる「アートユニット」である。作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼び、衣装は「青い作業服」と、「一昔前のありふれた日本の企業」スタイルで活動をしている。ああ!と思われた読者もいるだろう。
明和電機は不思議な形をした自作楽器を使い、ライブを繰り返す一方、面白い発想の「グッズ」を作って販売している。代表的な製品として「魚コード(なこーど)」がある。魚の骨をモチーフにした延長コードで、その奇妙なスタイルを目にしたことがある人もいるかもしれない。
本書は、そんなユニークな「製品」を生み出す著者の「発想のテクニック」を余すところなく紹介した一冊である。漢字にはすべてルビが振られ、カバーの背表紙には、年組名前を記す欄まである(苦笑)。腰帯には「小学生からビジネスマンまで」とちゃんと断り書きまである。しかしこの本、侮ってはいけない。企画力とは「こういうものだ」ということがわかる本なのだ。
彼らの製品の中に「パチモク」がある。これは、ノッカーなる電機仕掛けのバチを動かす装置で、指パッチンの動作で操作し、木魚を叩く、という奇天烈な楽器だ。この楽器を「100Vで動く装置」+「アコースティックな発音体」+「バカバカしい演奏方法」という公式を作り出し、以降、これに当てはまるシリーズ製品を生み出していく。
この「ある事柄の要素を分解して公式化し、他に展開する」という技術は、まさに「企画の基本」である。あまたの企画の本に書かれているが、小学生にもわかるレベルでの記述は、初めて目にした気がする。子をもつ親なら、この一言でピンときただろう。子供にもわかるように教えるのって、そのことが、本当にわかっていないと出来ないのだ。
巻末には「ヒラメキをカタチにする丸秘テクニック」と題して発想法を実にわかりやすく紹介している。その項目は6つ。1.モノを見たり、調べたりして、頭に栄養をあげる。2.突然、ヒラメく。3.ヒラメキをスケッチやメモにとる。4.それが本当に作れるかどうか確かめ、設計する。5.実際に工具や機械を使ってカタチにする。6.人に見せる。以上だ。
この本は不思議である。紹介されている彼らの製品は、とても「まともな」モノではないし、図版が多く使われ、結構な大人が読む体裁にもなっていない。ビジネス書とは謳っていないが、紛れもない「ビジネスパーソン」が読むべき本なのだ。迷うことなく買いの「一冊」だろう。ぜひ!
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