発想する会社!
【著者】トム・ケリー/ジョナサン・リットマン
【訳者】鈴木主税/秀岡尚子【出版社】早川書房
【発刊年月】2002年07月31日
【本体価格】2,500円【ページ数】325p【ISBN】4-15-208426-X
現在、Tシャツのためにどれだけの予算がとってあるにせよ、それを倍増さ せよう。Tシャツのコストなどたかが知れているのに、チームの連帯感とい う大きな見返りがある。当然、デザインはチームに関連のあるものにする。IDEOのベテラン社員は誰でも、Tシャツを2、30枚もっている。
本文 110p より 抜粋
自他共に認める世界最高のデザイン・ファームであるIDEO。本書はそのクリエイティブあふれる会社が持つ、様々なイノベーション技法を、豊富かつ具体的な事例とともに紹介する一冊である。久々に、読後「紹介するのは止めようか」と思わせた、充実の内容である。
パーム(PDA)やプラダ、ペプシ、アップル、P&Gなど、多くの一流企業をクライアントに持つ、彼らの発想のテクニックはいたってシンプルである。「観察」→「ブレスト」→「プロトタイプづくり」と、たったそれだけのことだ。しかし、そこからイノベーションが生まれる。
まず彼らは、詳細なアンケートデータなどは信用しない。作るべきその商品を利用しているユーザーを徹底的に観察する。観察することによって、自分たちで見つけ出した、数々の「なぜ」を元に、商品を形作るソースとしていくのだ。マーケティングデータを過信しないところなど、とても興味深い。
その観察をもってして、彼らはブレーンストーミングを実施する。自分たちもブレストぐらいやっているよ!と言われそうだが、本書によると「ブレストに関する厄介な問題は、誰もが既に実行していると思い込んでいる」ところにあるらしい。要は上手くやれていないことを揶揄しているのだ。
このクリエイティブ集団が、そのアイデアを爆発させるのが、このブレストなのだと言う。本書にはそのスキルがポイントを抑えて紹介されている。秘訣は7つ。小見出しを拾ってみよう。焦点を明確にする。遊び心のあるルール。アイデアを数える。力を蓄積し、ジャンプする、などとなっている。
次に、とにかくプロトタイプを作ってみることを本書は奨めている。机上で幾ら考えても、実際に近いものを作ってみることで、見えなかったものが見えたり、その過程で意外な発見があったり、改良を重ねることの効能も余すところなく教えてくれている。なるほどな!と思わせる内容が多い。
それらのイノベーション技法が有効に活用するための「職場風土」が大切であると言うこともまた、本書は示してくれている。人が育ち頑張ることができる、ホットなメンバーと(なにかを育む)温室のような職場がベースになければ、良いものは作り出せない、と言うことなのだろう。
モノづくりに携わる人間は必読。それ以外でも、あなたが上司と呼ばれる存在であるならば、質の高い仕事を部下も含めた全員でおこなうためのスキルを本書で学ぶべきだろう。太鼓判の一冊である。
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