なぜデルコンピュータはお客の心をつかむのか
【著者】宇井洋【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】2002年07月11日
【本体価格】1,500円【ページ数】192p【ISBN】4-478-31201-X
「私は、事業を変化させようという会社の戦略を理解している」この問いに対して「そう思う」「まったくそう思う」と答えたデルの社員は約80%。デルのビジネスモデルを模倣する企業が本当に学ぶべきことはここに隠されているのかもしれない。
本文 192p より 抜粋
デルコンピュータと言えば、「直販系PCメーカー」だが、多くのビジネスパーソンは「顧客サポートNo.1」企業であることを知っているだろう。そんなデルコンピュータが、お客の心を掴むために行っていること、その秘密に迫ったのが、本書である。
デルコンピュータ成功の秘密は、業界標準の製品を直販でリーズナブルな価格で提供するとともに、「カスタマー・エクスペリエンス」という同社独自の顧客満足度をあらわすコンセプトの実現にある、とそのトップ自身が分析している。
デルコンピュータの言う「カスタマー・エクスペリエンス」とは、コンピュータの購入検討から問い合わせからアフターサポートまで、製品の購買および使用体験に関わるすべてのシーンにおいて、最良の満足体験をしてもらうことを指すのだが、言うはカンタン、実際に行うのは容易ではないはずだ。
例えば、デル製品には保証書が添付されていない。もちろんデルの製品は業界随一といっての過言ではない、手厚い保証がなされている。ないのは「保証書」なのである。デルは「自社でお客様の製品についての情報の一切を管理しているので、保証書は添付していない」というのだ。
これは目からウロコだった。保証書を持つことは「ユーザーがその権利や、製品に関する情報を、すべて自身の手によって管理する」ということを意味している。無くせば保証は受けられないし、保証期間なども当然わからなくなってしまう。しかし考えればわかるが、保証書の保管は結構大変だ。
特に大量にPCを導入する企業など、その管理に手を焼いているに違いないだろう(実際は納入した会社が引き受けているのかもしれないが)。デルコンピュータなら、製品に付けられている「サービスタグナンバー」によってすべてを管理している。保証に関する管理はデル任せだ。
筆者は、デルコンピュータの成功を「創業以来一貫して顧客志向に徹したモノ作りを指向し、なおかつそれを愚直なほどに地道に実践してきた結果」であるとまとめている。顧客志向のモノ作りなど、どの会社でも行っているはずだが、成功に結びつかないのは、その「愚直さ」の不足にあるのかも、そう思わせるほどの説得力あるシーンがいくつも紹介されている。
本書は「癒し系」である。なぜ成功した会社について紹介された本が「癒し系」なのか。当たり前のことを「愚直」に取り組んだことによって、すばらしい「結果」が得られた。そのプロセスに心奪われ、読後に「達成感」が得られる。そして、なんとなく癒される…。読めばわかるだろう。
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