一勝九敗
【著者】柳井正
【発行】新潮社 【発行年月】2003年11月15日
【本体価格】980円 【ページ数】236p 【ISBN】4-10-464201-0 C0034
危機につながるような致命的な失敗は絶対にしてはならないが、実行して失敗するのは、実行もせず、分析ばかりしてグズグズしているより、よほどよい。失敗の経験は身につく学習効果として財産になる。
本書 74P より抜粋
「ユニクロのフリース ¥1900」のキャッチコピーで一躍有名になった(株)ファーストリテイリング。その代表取締役会長兼CEOといえば、今や若者や幅広い層から絶大なる支持を受ける経営者、柳井正氏だ。その柳井氏がユニクロの立ち上げから経営方針までを書き下ろした。
タイトル「一勝九敗」は、ユニクロといえども10回新しいことをすれば9回は失敗する、経営の難しさを表現したものだ。「現実」はいつでも非常に厳しい。経営環境は目覚ましいスピードで変化する。経営を続け存続させるには、自己革新と成長を続けなければいけないのだと氏は語る。
ユニクロ一号店が広島市だったことはあまり知られていない事実だろう。店名も「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」だったという。今でこそ都内でユニクロのロゴはよく見かけるが、氏によると関東進出はかなり大きな壁だったらしい。そう、関東では安価な服が受け入れられなかったのだ。
“安かろう悪かろう”の商品イメージを払拭するまでの過程は凄まじい努力を要したという。本書を一読すると、被服の素材や生産過程の見直し、クレーム募集、ブランド構築、関係会社の整理などに追われ、その大変さを理解できることだろう。
店舗展開においても様々な失敗を繰り返したという。ユニクロの服はスポーティなものが多いが、それではスポーツウエアに特化した店舗をと考え、スポーツシューズまで含めたスポーツカジュアル店「スポクロ」を開店。後に家族向けのファミリーカジュアル「ファミクロ」も開店した。
これは売り上げがサッパリだったため、1年も立たないうちに閉店したという。しかし、柳井氏が経営者として素晴らしいと思うところはここからだ。失敗の原因を追究し、きちんと次のステップへの足がかりにしている。計画・実行・回顧をこなすことで、更なる発展を必ず意識しているところだ。
本書の後半では、会社の在り方についても提言している。柳井氏の理想的な会社形態は「社長が言っていることがそのとおり行われない会社」だ。社員は社長の発言の本質を理解し、具体的に考え実行しなければいけないと。それができていない会社が今は多く、失敗しているのでは、と分析する。
よく、成功を収めるためには目標や計画を立てて行動しろと言われる。本書を読んで分かったことは、「実行」することへの躊躇だ。失敗を恐れていては何もできない。柳井氏が自身の失敗談を連ねることにより、我々に実行への勇気を与えてくれる。ぜひ一度手にとっていただきたい一冊だ。
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