「心理戦」で絶対に負けない本
【著者】伊東明/内藤誼人
【出版社】アスペクト
【発刊年月】2000年04月07日【本体価格】1,600円【ページ数】281p
【ISBN】4-7572-0710-7
人間は最初の依頼に対しては、自由である。(中略)しかしながら、いったん最初の依頼を受け入れたが最後、二番目の依頼からはもはやあなたの自由は奪われている。最初の依頼に拘束され始めるからである。(中略)あなたは二番目の依頼に対してある種の「逆らいがたい強制力」を感じ、その強制力に屈服することになる。その強制力は、実に巧妙にあなたの心に忍び込み、あなたの自由を奪うのである。
本文 42p より
ヒトの心がもう少しわかればなぁ…。ビジネスマンなら誰しも思うことだろう。さまざまな交渉折衝は言うまでもなく、上司や部下、友人などの人間関係においても、相手の気持ちが理解できれば、優位に立てるということは、間違いないからだ。ベストセラーになったこの本は、人間関係を制するための心理テクニックを紹介している。その内容だが(ある意味で)かなり怖い。
まず、説得の三大テクニックとして「断る自由を奪う」「相手の罪悪感を利用する」「得したように見せかける」を上げている。字面がすでに嫌な感じであるが、それぞれは、日常何気ないところで、すでに利用されているという。皆さんは気がついているだろうか?
例えば、ブティック等に出掛けると、しつこく試着を迫られたりするけれども、それは、断る自由を奪うという、最初のテクニックを利用しているそうだ。しつこく奨められれば、つい断れずに試着する。一度言うことを聞いてしまうと、人は次の依頼を断りにくいという心理を、巧みに利用しているのだとか。このように、さまざまな心理的トラップが、豊富でわかりやすい実例と、噛んで含めるような解説で紹介されている。セオリーとして、理路整然と言われてしまうと恐ろしくなるようなテクニックばかりだ。
さらに、武器としての説得術として、「恐怖で人を動かす」「レトリックで人を動かす」「おまけと希少価値で人を動かす」などのノウハウが紹介され、
「印象操作」「プロファイリングのテクニック」「詐欺やだましの心理メカニズム」と続く。どれも大変に興味深いコンテンツで、一気に読める面白さだ。
ビジネスマンがこの本を手にしたとして、そのまま活用できることはないかもしれない。ここに書かれていることズバリの例が、現実に起こるとは限らないからである。また気分的に、このようなテクニックを利用することをよしとしない人も多いだろう。しかし、人の心が動くメカニズムを知っておいて、損はないと考える。対人関係を優位に運ぶというよりも、転ばぬ先の杖的に、気持ちが動くしくみを、学んでおくのもよいだろう。
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