営業思考パワーアップ塾

【著者】佐々木宏【発行】ダイヤモンド社
【発行年月】2004年03月11日 【本体価格】1,400円
【ページ数】171p 【ISBN】4-478-54063-2

同じ世帯に住む世帯は、往々にして年収やライフスタイルが似通った人びとが集まる。個人営業にせよ法人営業にせよ、営業テリトリーというものがあり、各居住地区によって訪問戦略を練っているはずだ。場所と売り方のネジレがないか。今一度検証してみよう。

本書 P86 より抜粋

あなたは今、合コンをしています。会が始まって以来、対角線に座る「あいつ」が気になって仕方がありません。30分後、ようやく席替えです。ついに、気になる「あいつ」が、あなたの隣に座ることに。あなたはここで、どういうプロセスを経て「あいつ」をゲットすべく、話を展開しますか?

これが、本書の入塾問題だ。

いまは、食べきれない程の商品が売られている。慢性的に満腹の生活者が相手だ。つまりこれまでの営業のやり方では通用しない。これからは、体育会系で猪突猛進する「イノシシ型営業」ではなく、獲物を高いところから俯瞰しチャンスを勝ち取る「フクロウ型営業」こそが必要なのだという。

本書は「フクロウ型営業」になるべく、18の演習が用意されている。一つひとつ自分なりに考えながら読んでいくと、自分にはどんな視点が足りなかったかがわかるだろう。

最初にあげた入塾問題の答え方には、大きく分けて3つのタイプがあるという。1つ目はまず「お酒に誘う」「映画に誘う」といった解答だ。相手の好みは考えず、自分の趣味や自慢話に終始するタイプ。これぞ「イノシシ型」タイプなのだという。

2つ目は「最初に見たときから気になっている。携帯番号を教えてくれ!」という「大勘違いプレゼンテーション」といわれるタイプ。これは、1回でやめればユーモアかもしれないが、2回目でイノシシ、3回目でストーカーだ。こんな営業スタイルでは危なくて仕方がない。

3つ目のタイプ、「フクロウ型営業」はこうだ。質問し、相手が喜ぶスウィートスポットを発見し、そこをプッシュするタイプ。「相手の趣味を聞く」「好きな食べ物を聞く」といったことが頭に浮かんだ人は、すでに営業のセンスが備わっていると著者は言う。

では、「フクロウ型営業」になるためにはどうすればいいか。それは「分析力」「企画力」「プレゼンテーション力」を磨くことなのだという。本書の18の課題に答えながら読み進めることで、新しいタイプの営業思考が自然と身についていくのだ。

顧客の問題点を探り、同じ視点で考え、適切な場所で、適切なモノを売る。このプロセスは当たり前なことだが、実際は気づかないうちに「ネジレ」が生じていると著者はいう。本書を読み、いま一度モノが売れる仕組みと提案営業とは何をすべきかを確認し、仕事に生かしてみてはいかがだろうか。

一勝九敗

【著者】柳井正
【発行】新潮社 【発行年月】2003年11月15日
【本体価格】980円 【ページ数】236p 【ISBN】4-10-464201-0 C0034

危機につながるような致命的な失敗は絶対にしてはならないが、実行して失敗するのは、実行もせず、分析ばかりしてグズグズしているより、よほどよい。失敗の経験は身につく学習効果として財産になる。

本書 74P より抜粋

「ユニクロのフリース ¥1900」のキャッチコピーで一躍有名になった(株)ファーストリテイリング。その代表取締役会長兼CEOといえば、今や若者や幅広い層から絶大なる支持を受ける経営者、柳井正氏だ。その柳井氏がユニクロの立ち上げから経営方針までを書き下ろした。

タイトル「一勝九敗」は、ユニクロといえども10回新しいことをすれば9回は失敗する、経営の難しさを表現したものだ。「現実」はいつでも非常に厳しい。経営環境は目覚ましいスピードで変化する。経営を続け存続させるには、自己革新と成長を続けなければいけないのだと氏は語る。

ユニクロ一号店が広島市だったことはあまり知られていない事実だろう。店名も「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」だったという。今でこそ都内でユニクロのロゴはよく見かけるが、氏によると関東進出はかなり大きな壁だったらしい。そう、関東では安価な服が受け入れられなかったのだ。

“安かろう悪かろう”の商品イメージを払拭するまでの過程は凄まじい努力を要したという。本書を一読すると、被服の素材や生産過程の見直し、クレーム募集、ブランド構築、関係会社の整理などに追われ、その大変さを理解できることだろう。

店舗展開においても様々な失敗を繰り返したという。ユニクロの服はスポーティなものが多いが、それではスポーツウエアに特化した店舗をと考え、スポーツシューズまで含めたスポーツカジュアル店「スポクロ」を開店。後に家族向けのファミリーカジュアル「ファミクロ」も開店した。

これは売り上げがサッパリだったため、1年も立たないうちに閉店したという。しかし、柳井氏が経営者として素晴らしいと思うところはここからだ。失敗の原因を追究し、きちんと次のステップへの足がかりにしている。計画・実行・回顧をこなすことで、更なる発展を必ず意識しているところだ。

本書の後半では、会社の在り方についても提言している。柳井氏の理想的な会社形態は「社長が言っていることがそのとおり行われない会社」だ。社員は社長の発言の本質を理解し、具体的に考え実行しなければいけないと。それができていない会社が今は多く、失敗しているのでは、と分析する。

よく、成功を収めるためには目標や計画を立てて行動しろと言われる。本書を読んで分かったことは、「実行」することへの躊躇だ。失敗を恐れていては何もできない。柳井氏が自身の失敗談を連ねることにより、我々に実行への勇気を与えてくれる。ぜひ一度手にとっていただきたい一冊だ。

コツコツ働いても年収300万好きなことだけして年収1000万シリコンバレーで学んだプロの仕事術

【著者】キャメル・ヤマモト 【発行】幻冬舎
【発行年月】2003年05月30日 【本体価格】1,200円
【ページ数】194p 【ISBN】4-344-00339-X C0030

シリコンバレーのプロフェッショナルは、自分がやりたいことを実現するために仕事をします。やりたいことにつながっているから、エネルギーが出ま す。エネルギーが出るから自然にがんばれます。がんばるから成功する確率も高まります。
本書 172P より抜粋

競争社会ということは、日本のビジネスパーソンも薄々気付き始めてはいるが、彼らは単に「まじめ」なだけだと、著者は看破する。年収1000万を超えるシリコンバレーのプロフェッショナルたちは、まじめさだけでなく、新しさを生み出していく「したたかさ」を備えているのだと、主張する。

そう、本書は稼ぐ秘密として「したたかさ」の実践を勧める本なのだ。内容は実に明解で読みやすい。62項目にわたる“稼ぐ為のコツ”の中身を少しだけ紹介しよう。創造、発想するためのコツを例に挙げる。

日本のサラリーマンは、オフィスという「箱」の中に入っている。そしてさらに思想さえも箱の中に閉じこもっているのだという。それに対しシリコンバレーのプロは、必要な時はその箱の中から出るのだそうだ。いつもと違う状況を自分で作って、箱を越えて考えることができるというのだ。

ある問題を考えていて行き詰まった時は、「何のためにこの問題を解く必要があるのか」といった質問を発してみる。これで、迷路に入る前の段階にさかのぼることができる。

また、一緒に考えている仲間の外に出ることも重要。自分の仕事に全く関係のない人に話すことで、思考をクリアにできるというのだ。

さらに著者は「仲間が一緒だと新しいことをやらなくなる。他人が見ていると失敗したくない気持ちが働いて、慣れ親しんだ方法に頼ってしまう」と人間心理をグサリと突いてくる。この“逃げ”の気持ちを起こさない為には、一日の中で、自分ひとりで考え抜く時間と状況を作り出せ、と主張する。

まじめな方はここで、それをそのまま実践するが、アイデアは何故か出てこない。ポイントはネットワークとの使い分けなのだという。ひとりの時間に「誰に聞けばいいか」を考えることも大切なのだと。テーマについて意見を聞いた後、自分でそれを絞り込み、そしてまた人に聞く、という具合だ。

毎日大量の仕事を抱え上司や部下に気を使う…。「なのになぜか金がない」と、酒の席で愚痴っている光景が目に浮かぶ。そんなビジネスパーソンにぜひ、本書をオススメしたい。毎日のストレスを解消する“うってつけ”の本だからだ。無論、これまでの仕事のやりかたを完全に覆す荒治療として…。

全部無料で宣伝してもらう対マスコミPR術

【著者】玉木剛 【発行】翔泳社
【発行年月】2002年09月13日 【本体価格】1,500円
【ページ数】213p 【ISBN】4-7981-0203-2

これまでの販促費を初期段階で大幅にコスト削減できるとともに、広告費が費用対効果に合わないというリスクも避けられる。つまりローリスク・ハイリターンの売れる仕組みを作り出すことができるのだ。
本書 38P より抜粋

十分な広告予算もなく、無理をして広告を出しても費用対効果に合わない。ならば「ウチは商品力で勝負だ!」となどと息巻いているだけで何の戦略も立てず、取り返しのつかない事態に陥ることは是非避けたい。そこで、本書の登場となるのだ。そう!タダで宣伝でしてもらおうと。

「プレスリリース」という言葉に馴染みはあるだろうか。これは企業などがマスコミ関係者に対して自社の新商品やサービスなどの情報を提供する報道資料のことを指す。その資料をマスコミに読んでもらい、記事(放送)として取り上げてもらう、という戦法だ。

プレスリリースによるパブリシティ(記事・放送)は、広告よりもはるかに費用対効果が高い。何しろ媒体費用がかからないうえに、一般的に広告の3倍の媒体価値があるといわれている、というのだ。

なるほど、企業が広告スペースを買い、自社商品・サービスのメリットを訴求する。消費者はその大量の広告に対して少なからず圧迫感を抱いており、自分の判断で商品を選択したいと願っている表れなのだろうか。

つまり、商品・サービスに対して「客観的」な評価を下すマスコミの記事や放送に対して、消費者の信頼が置かれるようになったと。話題性のある商品を記者たちが選択し、評価したものには信憑性がある、ということか。

通常、企業ではアンケートやインタビューなどの取材・調査を通じて、消費者の声に耳を傾け商品開発を行う。消費者のニーズを捉えたうえで、商品やサービスを開発する。だがこれからは消費者だけでなく、マスコミの記者たちにもヒアリングすることを著者は強く主張する。

本書では、著者が取材したメディアの現場に携わる人たちのコメントを掲載し、採用され易いプレスリリースの書き方、送り方などを紹介する。今までのプレスリリースの間違ったやり方を見直し、企業がマスコミに伝えたいことと、マスコミが読書や視聴者に伝えたい大きなミゾを埋めてくれる。

さて、このメールマガジンの読者が、本書を読むべき理由は何だろう。それは、テレビ・新聞・雑誌など、マスコミ各社の手の内を覗き見るため…。それと同時に、世間で流布する情報の「カラクリ」を知ることにもなる。シリーズで新刊も出ているが、まずはこの本からと、お勧めしておきたい。

考具

【著者】加藤昌治 【発行】ティビーエス・ブリタニカ
【発行年月】2003年04月04日 【本体価格】1,500円
【ページ数】239p 【ISBN】4-484-03205-8

考えるための道具、持っていますか?丸腰で仕事はできない。あなたのアタマとカラダを「アイデア工場」に変えるとっておきのシンキング・ツール、教えます。
本書 腰帯 より抜粋

新しい企画を考える時、どうしても発想できない。そもそも何から始めればよいのかがわからない、という人は多いのではないだろうか。それを「発想力がない」という風に判断しないで欲しい。恐らく我々は発想するための方法を知らないだけだったのだ…。これが、本書を読み終えた正直な感想だ。

アイデアとは、「既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」。著者はこの定義をくり返し主張する。「新しいアイデア」とは、全世界的に新しいものと勘違いしてしまいそうだが、この定義でかなり気が楽になる。

我々は、(今のところ)大発明家でも大科学者でもない。欲しいのは、自分の仕事や生活で役に立つ実践的なアイデアや企画なのだ。そこで本書で紹介する「考具」の活用をオススメする。難解な操作を必要としない、単に頭の働きをスムーズに、サポートするための便利な道具なのだという。

考具その1「カラーバス」。バスはBATH。色を浴びるということ。使い方は簡単で「今日のラッキーカラー」を決めるだけ。「今日は赤」という具合に。そしていつものように通勤してみる。するとなぜか「今日は赤い車が多いなぁ」と妙に赤いクルマが目につく。屋外看板も赤いのが目に入る。

これがカラーバス効果だ。「今日は赤」と意識しただけで、やたらとそれが目につく。そして、赤いものが何だったのかを見る。単に色の共通項で括るだけで、自分の想像をはるかに超えたアイテムが集まってくるのだ。「見える」から「見る」へ意識を変えることが非常に重要なことなのだという。

確かに、例えば靴下と回転寿司の看板なんて普段一緒に想像することはないはずだ。クルマなら、クルマ周りのことだけで考えてしまうパターンのように、アイデアを考えることに慣れていない場合、要素を探す範囲が狭くなってしまうことが多いのだそうだ。

いつもと違う視点視座で!と張り切ってみても、それはなかなか見つからない。そんなときに「カラーバス」は、必ずいつか役に立つ日がくるのだという。アイデアのヒントは至るところにある。我々が発見できるかどうかが大事なのだと。

ヒントを探しているか、見つけようとして、自身や周囲(の人やモノ)に問いかけているか、がポイントなのだと著者は言う。

本書は21個の「考具」で、我々にアイデアのメソッドを伝授してくれる。知識としての引き出し、仕事に使える手引書として、タイトル通り「考具」を道具として携帯することをオススメする。

商品企画のシナリオ発想術

【著者】田中央 【発行】岩波新書
【発行年月】2003年01月08日 【本体価格】700円
【ページ数】178p 【ISBN】4-00-700056-5

■冷蔵庫、食器棚、工事現場、健康法がこんなに変わる
■ハンズフリー 近未来の携帯電話を描く
■コンセプトマーケット 出会いを演出する
■さまざまなアイデアを20のシナリオで公開

本書 表紙裏 より抜粋

日本は戦後復興期からモノが豊かに出回り、モノづくりの競争は激化してきた。そして、いつからか次第に我々の生活は多様化し、個性派の時代になった。モノが飽和し、渾沌とした生活者は「生活の質的向上」をめざして模索しているのが現状だ。

そう、モノの作り手側としてのメーカーも、売れ筋商品ばかりを追い求めるわけにはいかなくなってきた。もっと積極的に、ユーザーが新しいライフスタイルを築けるようなものの提案が求められているのだ。

作り手はそれをイメージし、具体的な仮説を立てることによって創造しなくてはならない。そこで本書では、新しい商品開発のコンセプトワークに「シナリオライティングによる発想法」を紹介する。

著者はまず、「モノ」の前提には必ず「コト」が存在すると主張する。「コト」なしに「モノ」は創造できないと。つまり新商品を開発するためには、ユーザーが使用した時に「どんな気持ちになるか、どこに価値を置くか」などをイメージし、コンセプトを細かく設定する必要があると言及している。

我々は日頃の生活の中で、多かれ少なかれ満足や不満を抱く。創造性の発揮の前にはこのような動機と問題意識が不可欠なのだそうだ。不安から安心、不思議から納得も同様である。

著者は、この3つの「不」はネタづくりのタネそのものなのだと重ねて強調する。ニーズと欲求の両立というところか。

そして、話題は著者が富士写真フィルムに在籍中に、大ヒット商品「(使い切りカメラ)写ルンです」の商品コンセプトを確立させた経緯に移る。

「親近感」がキーワードだった「写ルンです」。この言葉を手がかりに新商品がどんなものであるかを的確に表すのに、発想の手続きとして「比喩」表現を実践。類義語や同義語に置き換えてみるのだという。

「身近な、しっくり、気安い」などに置き換えていくことで発想が成長していくのだという。驚くかもしれないが結局、最終的なメタファは「キャラメル」に決定した。

今度はキャラメルの観察だ。色に特化していえば、キャラメルの箱の色はお菓子メーカーのアイデンティティカラー。そうなるとカメラもフィルムパッケージのグリーンに落ち着くことになる。と、スマートに解決できていく。

本書に掲載されているシナリオの例を読み勧めていくと、我々の新しいライフスタイルとして、新しい商品がどんどん出てくるような気がしてくる。なぜか数年後の生活が楽しみになってしまう。この発想術はさまざまな場面で応用できるし、世の中を楽しくするための一冊になりそうだ。

なぜデルコンピュータはお客の心をつかむのか

【著者】宇井洋【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】2002年07月11日
【本体価格】1,500円【ページ数】192p【ISBN】4-478-31201-X

「私は、事業を変化させようという会社の戦略を理解している」この問いに対して「そう思う」「まったくそう思う」と答えたデルの社員は約80%。デルのビジネスモデルを模倣する企業が本当に学ぶべきことはここに隠されているのかもしれない。
本文 192p より 抜粋

デルコンピュータと言えば、「直販系PCメーカー」だが、多くのビジネスパーソンは「顧客サポートNo.1」企業であることを知っているだろう。そんなデルコンピュータが、お客の心を掴むために行っていること、その秘密に迫ったのが、本書である。

デルコンピュータ成功の秘密は、業界標準の製品を直販でリーズナブルな価格で提供するとともに、「カスタマー・エクスペリエンス」という同社独自の顧客満足度をあらわすコンセプトの実現にある、とそのトップ自身が分析している。

デルコンピュータの言う「カスタマー・エクスペリエンス」とは、コンピュータの購入検討から問い合わせからアフターサポートまで、製品の購買および使用体験に関わるすべてのシーンにおいて、最良の満足体験をしてもらうことを指すのだが、言うはカンタン、実際に行うのは容易ではないはずだ。

例えば、デル製品には保証書が添付されていない。もちろんデルの製品は業界随一といっての過言ではない、手厚い保証がなされている。ないのは「保証書」なのである。デルは「自社でお客様の製品についての情報の一切を管理しているので、保証書は添付していない」というのだ。

これは目からウロコだった。保証書を持つことは「ユーザーがその権利や、製品に関する情報を、すべて自身の手によって管理する」ということを意味している。無くせば保証は受けられないし、保証期間なども当然わからなくなってしまう。しかし考えればわかるが、保証書の保管は結構大変だ。

特に大量にPCを導入する企業など、その管理に手を焼いているに違いないだろう(実際は納入した会社が引き受けているのかもしれないが)。デルコンピュータなら、製品に付けられている「サービスタグナンバー」によってすべてを管理している。保証に関する管理はデル任せだ。

筆者は、デルコンピュータの成功を「創業以来一貫して顧客志向に徹したモノ作りを指向し、なおかつそれを愚直なほどに地道に実践してきた結果」であるとまとめている。顧客志向のモノ作りなど、どの会社でも行っているはずだが、成功に結びつかないのは、その「愚直さ」の不足にあるのかも、そう思わせるほどの説得力あるシーンがいくつも紹介されている。

本書は「癒し系」である。なぜ成功した会社について紹介された本が「癒し系」なのか。当たり前のことを「愚直」に取り組んだことによって、すばらしい「結果」が得られた。そのプロセスに心奪われ、読後に「達成感」が得られる。そして、なんとなく癒される…。読めばわかるだろう。

発想する会社!

【著者】トム・ケリー/ジョナサン・リットマン
【訳者】鈴木主税/秀岡尚子【出版社】早川書房
【発刊年月】2002年07月31日
【本体価格】2,500円【ページ数】325p【ISBN】4-15-208426-X

現在、Tシャツのためにどれだけの予算がとってあるにせよ、それを倍増さ せよう。Tシャツのコストなどたかが知れているのに、チームの連帯感とい う大きな見返りがある。当然、デザインはチームに関連のあるものにする。IDEOのベテラン社員は誰でも、Tシャツを2、30枚もっている。
本文 110p より 抜粋

自他共に認める世界最高のデザイン・ファームであるIDEO。本書はそのクリエイティブあふれる会社が持つ、様々なイノベーション技法を、豊富かつ具体的な事例とともに紹介する一冊である。久々に、読後「紹介するのは止めようか」と思わせた、充実の内容である。

パーム(PDA)やプラダ、ペプシ、アップル、P&Gなど、多くの一流企業をクライアントに持つ、彼らの発想のテクニックはいたってシンプルである。「観察」→「ブレスト」→「プロトタイプづくり」と、たったそれだけのことだ。しかし、そこからイノベーションが生まれる。

まず彼らは、詳細なアンケートデータなどは信用しない。作るべきその商品を利用しているユーザーを徹底的に観察する。観察することによって、自分たちで見つけ出した、数々の「なぜ」を元に、商品を形作るソースとしていくのだ。マーケティングデータを過信しないところなど、とても興味深い。

その観察をもってして、彼らはブレーンストーミングを実施する。自分たちもブレストぐらいやっているよ!と言われそうだが、本書によると「ブレストに関する厄介な問題は、誰もが既に実行していると思い込んでいる」ところにあるらしい。要は上手くやれていないことを揶揄しているのだ。

このクリエイティブ集団が、そのアイデアを爆発させるのが、このブレストなのだと言う。本書にはそのスキルがポイントを抑えて紹介されている。秘訣は7つ。小見出しを拾ってみよう。焦点を明確にする。遊び心のあるルール。アイデアを数える。力を蓄積し、ジャンプする、などとなっている。

次に、とにかくプロトタイプを作ってみることを本書は奨めている。机上で幾ら考えても、実際に近いものを作ってみることで、見えなかったものが見えたり、その過程で意外な発見があったり、改良を重ねることの効能も余すところなく教えてくれている。なるほどな!と思わせる内容が多い。

それらのイノベーション技法が有効に活用するための「職場風土」が大切であると言うこともまた、本書は示してくれている。人が育ち頑張ることができる、ホットなメンバーと(なにかを育む)温室のような職場がベースになければ、良いものは作り出せない、と言うことなのだろう。

モノづくりに携わる人間は必読。それ以外でも、あなたが上司と呼ばれる存在であるならば、質の高い仕事を部下も含めた全員でおこなうためのスキルを本書で学ぶべきだろう。太鼓判の一冊である。

明和電機 魚コードのできるまで

【著者】土佐信道【出版社】NTT出版
【発刊年月】2002年03月25日【本体価格】2,300円
【ページ数】175p【ISBN】4-7571-5033-4

「なぜヒラメくの?」という質問には大変答えにくいのですが、「どこで、どんなときにヒラメくの?」には答えられます。一番多いのが「寝おきスパーク」です。
本文 166p より 抜粋

明和電機と聞いてピンと来る人がどのくらいいるのかは分からない。明和電機とは、本書の著者である土佐信道プロデュースによる「アートユニット」である。作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼び、衣装は「青い作業服」と、「一昔前のありふれた日本の企業」スタイルで活動をしている。ああ!と思われた読者もいるだろう。

明和電機は不思議な形をした自作楽器を使い、ライブを繰り返す一方、面白い発想の「グッズ」を作って販売している。代表的な製品として「魚コード(なこーど)」がある。魚の骨をモチーフにした延長コードで、その奇妙なスタイルを目にしたことがある人もいるかもしれない。

本書は、そんなユニークな「製品」を生み出す著者の「発想のテクニック」を余すところなく紹介した一冊である。漢字にはすべてルビが振られ、カバーの背表紙には、年組名前を記す欄まである(苦笑)。腰帯には「小学生からビジネスマンまで」とちゃんと断り書きまである。しかしこの本、侮ってはいけない。企画力とは「こういうものだ」ということがわかる本なのだ。

彼らの製品の中に「パチモク」がある。これは、ノッカーなる電機仕掛けのバチを動かす装置で、指パッチンの動作で操作し、木魚を叩く、という奇天烈な楽器だ。この楽器を「100Vで動く装置」+「アコースティックな発音体」+「バカバカしい演奏方法」という公式を作り出し、以降、これに当てはまるシリーズ製品を生み出していく。

この「ある事柄の要素を分解して公式化し、他に展開する」という技術は、まさに「企画の基本」である。あまたの企画の本に書かれているが、小学生にもわかるレベルでの記述は、初めて目にした気がする。子をもつ親なら、この一言でピンときただろう。子供にもわかるように教えるのって、そのことが、本当にわかっていないと出来ないのだ。

巻末には「ヒラメキをカタチにする丸秘テクニック」と題して発想法を実にわかりやすく紹介している。その項目は6つ。1.モノを見たり、調べたりして、頭に栄養をあげる。2.突然、ヒラメく。3.ヒラメキをスケッチやメモにとる。4.それが本当に作れるかどうか確かめ、設計する。5.実際に工具や機械を使ってカタチにする。6.人に見せる。以上だ。

この本は不思議である。紹介されている彼らの製品は、とても「まともな」モノではないし、図版が多く使われ、結構な大人が読む体裁にもなっていない。ビジネス書とは謳っていないが、紛れもない「ビジネスパーソン」が読むべき本なのだ。迷うことなく買いの「一冊」だろう。ぜひ!

このマーケターに学べ!

【著者】マーシャ・ターナー【訳者】小高尚子
【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】2002年03月14日【本体価格】1,600円
【ページ数】233p【ISBN】4-478-50202-1

いまの時代、マーケティングがものすごくもてはやされるのには理由がある。 考え抜かれたマーケティングの戦略や戦術は、企業がはるか宇宙まで届くよ うな売上をもたらすことができる。優秀なマーケターも、売上と一緒に自分 のキャリアを大きく宇宙に向けて上昇させる。
まえがき より 抜粋

日本を代表するメーカーの新製品のマーケティングを手がけたことがある。開発部門はとりあえず製品を作ってみて、宣伝部門はなんとなくコマーシャルを作成して、営業部門は他の部署とは一切連絡をとらず販促策を考えている…そんな光景を目の当たりにして、驚いてしまった。

さて、書店店頭を観察していると、マーケティング関連本がよく売れているようだ。簡単な用語などが理解できるものから、高度なセオリーを開陳したものまで、百花繚乱とはこのことを言うのだろう。今回紹介する本書は、その中でも最初に手をとるべき一冊とお勧めしたい、よく出来た本である。

本書に紹介されている「マーケター」は全部で12人。フィリップ・コトラーやセス・ゴーディンといったスーパースター級の学者・コンサルタント編と、マーサ・スチュワート、さらにはマドンナ(!)といった実務家編に分けて、そのリーダーたちの戦略が解説されている。

学者・コンサルタント編で紹介される人々は、すばらしいマーケティング関連の本を出版している。それらを読むのはとても骨が折れるが、本書はそれらのコンテンツのエッセンスを上手に抽出している。大元の本を読まずとも解った気になれるのも、ちょっとうれしい。

実務家編では、セオリーだけでない、実際に成功していくプロセスが、ダイナミックに示めされていて、読み物としても興味深い。日本では、スーパー主婦として知られているマーサ・スチュワートが、実は「猛烈なビジネスパーソン」であると紹介されていた。知ってました?

冒頭のエピソードを紹介したのには理由がある。マーケティングは決して限られた専門家が必要とする知識なのではなく、ビジネスに携わる人々すべての人は、マーケティング的視点を持っておくべきものだ、と知って欲しかったからだ。

生産から消費までのプロセスのそれぞれで、ちょっとしたマーケティングスキルがあれば、ひょっとしたら(=当然確約なんて出来ない)ビジネスとして成功を収めることが出来る、かもしれない。本書はそんな視点でも書かれている。だからこそ、あらゆる人に読んでみることをお勧めする。

クチコミはこうしてつくられる

【著者】エマニュエル・ローゼン【訳者】濱岡 豊
【出版社】日本経済新聞社
【発刊年月】2002年01月18日【本体価格】1,800円
【ページ数】359p【ISBN】4-532-14938-X

私たちは皆つながっている。新製品に興奮したとき、サービスのわるさに腹 が立ったとき、なにがよいか判断に迷ったとき、人と話さずにはいられない。
そう、私たちは皆「見えないネットワーク」で結ばれている。
本文 カバー見返しより 抜粋

マーケティングの現場で働いている人間にとって「クチコミ」は厄介な存在である。自分が担当する製品が優れていて、良いエピソードがクチコミに乗って流れると、その製品のヒットは約束される。しかし、セールスサイドでクチコミをコントロールしようと思っても、それは難しい。

本書は、厄介者でミステリアスな動きを見せる「クチコミ」について、そのメカニズムをわかりやすくまとめたものである。人はなぜ「つい話したくなる」のか、情報が人と人とのネットワークを通じて伝達(=伝染と言った方が適切か)していく様を、豊富な事例を挙げ解説している。

まず「バズ」という聞き慣れない言葉がまず登場する。本来の意味は、「低いブンブンうなるような音、ざわめき、騒音」、または「うわさ、風聞、風説」であるこの言葉を、本書では「ある時点における特定の企業や製品に対するコメントの合計」と定義している。

クチコミとは、ある人たちが形成した、製品やサービスなどについての「バズ」なのである、電話やメール、果ては夕食の話題などを通じて伝わるコメント、そのすべてのことを指している、と、述べられている。カンタンにまとめると難しくなってしまうが、詳しい事例で、容易に理解できる。

さらに、多くのマーケッターが、その重要性を無視している「クチコミ」をコントロールするために、人と人との「つながり」と、つい人に話したくなる「商品特徴」について、詳細に言及している。キーワードは「ネットワークのハブ」と「感染型製品」だ。

「ネットワークのハブ」とは、クチコミが広がる過程において、その製品やサービスのよさを「多くの人に伝える」存在のことを言う。従来のマーケティングでは「オピニオンリーダー」と呼ばれていた人だ。本書では、彼らに「クチコミの種」を埋め込むアイデアも提案されている。

「感染型製品」とは、人に伝えたくなる製品やサービスの持ついくつかの特性を紹介している。感情的な反応をかき立てる(=インパクトある車)・利用者が増えるほど便利になる(=ICQのようなサービス)など、なるほど人に言いたくなる製品やサービスがあると言うことがわかる。

本書は、マーケティング関連業種に就いていなくとも、十分に興味深い一冊である。自分たちの日常の中にも「情報を広めている、そして、情報を分析している」という、クチコミのすべてがあるハズだ。ネットワーク社会に生きる私たちが、持っておくべきリテラシーが、実はこの一冊の中にある。

プレゼンの成功法則

【著者】谷口正和【出版社】東洋経済新報社
【発刊年月】2002年02月07日【本体価格】1,200円
【ページ数】165p【ISBN】4-492-04164-8

現状のプレゼンは、顕在化されたデータとテクニックに頼りすぎるあまり、同質横並びの罠にはまり、ほとんど差異性を持たなくなってきている。選ぶ方も確信が持てないことにより、いくつものプレゼンを受けることによって、多彩さの中に答えを見出そうとしている。似たようなネクタイの中からお気に入りを探し出そうとしているようなものだ。
本書 324p より抜粋

想像力が疲弊した時代に向け、どのような新鮮な着眼、視点、発想により、次なるパラダイムを開くか・・・この一点に向けて本書は書かれた、と本文にある。しかし、本誌の読者に本書を紹介する理由は、そこにない。では推す理由は何か?プレゼンは、現代のビジネス社会での「必須力」だからだ。

一昔前、プレゼンなる言葉は業界用語だった(笑)。しかし、本書カバーにはこうある。プレゼン、それはすべてのビジネスコミュニケーションの基本だと。今や、プレゼン能力を身に付けていなければ、厳しいビジネス社会は渡っていけない、そんな調子だ。そして、それは実に正しい指摘でもある。

ビジネスの場において、交渉や提案、顧客へのアプローチなどを、ごく日常的に行っているはずだ。「根回し」や「あうん」といった「古いアプローチ手法」が通用しなくなりつつある今、相手に何かを伝えなくてはならない=相手を説得しなくてはならない時、プレゼン能力がきっとモノを言うはず。

本書は小冊子ではあるが、プレゼンを行うために必要なテクニックがぎっしり詰まっている。プレゼンを行うための「情報整理の手法」をはじめてとして、情報を「説得材料に変換するためのスケール」や、プレゼンテーション時の「アクションテクニック」まで、実に盛りだくさんなのだ。

例えば、情報は集められるが、そのハンドリングに悩むビジネスパーソンは多いと思う。本書では、たくさん集めた情報を、まずは100行にまとめ、それを10行→1行→一語に圧縮してしまう「コンセプト・キーワード化」の手法を提示している。やってみるとわかるが、便利なテクニックだ。

また、プレゼンプランを考えるために必要なスケール(=チェックリストのようなもの)も、わかりやすく提示されている。プレゼンする内容全体の構成を行うときは忘れてはならない項目を10のTとし、THEME、TITLEなど、それぞれを解説をしてくれている。

実は本書、プランニングを生業にしている人間にとっては、当たり前の内容が多い。しかし、その「プロのノウハウ」が、一般のビジネスパーソン向けに、これほど易しく噛み砕かれている本は、記憶にない。隅から隅まで精読すれば、人に「思い」を伝えるために、しなくてはならないことが、確実に見えてくるだろう。あらゆるビジネスパーソンに、一読をお勧めしたい。

編集者の学校

【編者】講談社Web現代【出版社】講談社
【発刊年月】2001年11月22日【本体価格】2,800円
【ページ数】461p【ISBN】4-06-210835-6

事件も現場も、テレビなどのメディア空間においてバーチャルなものとしてしか存在し得なくなっているんだ。たとえば事件が起きるとマスコミが大挙して押し寄せ、瞬く間に映像化して流す。すると初めて「事件の現場」ができるのです。
本書 324p より抜粋

大冊である。書店にて手にとって見ればわかる。軽装なので軽いが、厚みに圧倒されそうな本だ。南伸坊装丁の表紙の迫力にも、思わずたじろいでしまう。そして、腰帯にはこうある「マスコミで働く諸君!マスコミを志望する学生諸君!必読書です。」と。えっ!普通のビジネスパーソンには無縁?

本書の内容はというと、編集のイロハから取材のノウハウまでを、その業界ではカリスマと呼ばれている人たちが、少ない紙数ながら(なにせ登場する編集者やライターが総勢40名)初めて明かした、というふれこみである。さて勘の鋭い読者なら、何故この本を取り上げたのか、ピンと来ただろう。

まず読み物として本書は面白い。ここにノウハウを開陳しているカリスマたちのことは、読者も一度ならずとも目にしているはずである。その有名人たちの「楽屋落ち」を垣間見ることが出来るのだ。作家達が編集者に求めている資質、ライターたちが執筆する時の気概…サクッと楽しく読めてしまう。

例えば、天才アラーキーは、今の編集者たちは「礼節をなくしている」と嘆く。あの「破天荒」な人が、礼儀を説くなんて!(笑)。現場に行かないと事件はわからないと力説するジャーナリストが多い、一方で、現場百遍なんてもう古いと言い切るライターもいて、一冊の中での混在が笑えてしまう。さて、ビジネスパーソンに何故この本を読めと勧めるのか。理由は簡単。必ず役に立つからである。本書は一見すると「編集」というごく限られた「スキル」について紹介している本に見える。しかし、この本にちりばめられている「方法論」は、実のところビジネスの現場に役立つことばかりだ。

作家が編集者に求めること=クライアントや上司が自分に求めること…に酷似していることが、読み始めるとすぐにわかる。編集者に求められていることは、まとめてしまうと「熱意」なのだが、その「熱意のベクトル」をどこへ向ければ、気難しい人たちは納得するのか、本書は教えてくれる。

また、ライターたちの取材ノウハウ=情報収集のプロたちに、その方法を学ばない手はないだろう。書くことに関するツボ=伝わる文章を書くためのエッセンスを今のビジネスパーソンは身に付けておいて損は無いはずである。腕一本で食べている人たちの「方法」は見習うべき点だらけなのだ。

さらに本書は、情報発信者たちが「何を考えて情報を発信しているのか?」と言うことを知るための格好の材料といえるかもしれない。世の中に発信されている情報に対して、自分なりの視座視点を持つための「教科書」にもなるはずである。二重丸のお勧め本。ぜひ、手にとって見て欲しい。

IBMで学んだことアスキーで得たことセガで考えたこ

【著者】廣瀬禎彦【出版社】WAC
【発刊年月】2001年11月06日【本体価格】1,400円
【ページ数】214p【ISBN】4-89831-031-1

私が求めていたのは、アイデアを生み出す際の基礎となるような考え方を教えてくれるテクニック、いったん身につければイノベーティブ・シンカーが生み出すのと同じたぐいのアイデアを、同じ数だけ生み出せるようになるテクニックでした。そうしたテクニックが見つからなかったので(中略)明らかにしようと私は決心しました。
本書 腰帯 より抜粋

今週紹介する本の筆者のことは、派手かつユニークな経歴の持ち主であることから、ご存知の方も多いだろう。IBMで「アプティバ」を、セガで「ドリームキャストのネット接続」を、そして今、ケーブルテレビで「ブロードバンド普及」に取り組んでいる名物男が「自分のために仕事をする方法」を記している。本メルマガ読者なら気になるところだろう。

本書に書かれていることは、「IBM」「アスキー」「セガ」にて筆者が行った仕事についての「四方山話」をまとめてあるだけである。こう書いてしまうと、本書は魅力無いものに聞こえるが・・・これがとても面白いのだ。筆者のアクションの中に、ビジネスパーソンとして持っておきたい「視座・視点」のエッセンスが詰まっているのだ。

IBMという外資系の企業に在籍した筆者は、相当早い時期から「本場のリストラ」を目の当たりにしたそうだ。会社は定年まで勤めるところではないと実感し、「会社を辞める選択肢も持つ」と結論に至る。そこから、「会社に依存することなく、楽しいと思える仕事をする」という、行動原理を持つようになったという。その後の転職もその原理に基づいている。

また、パソコン業界から出版、ゲーム、そしてブロードバンドと、畑は似ているが異なる業種への転職については、過去の経験が生きない。だから成功体験に縛られることがない。筆者は業種を替えて転職することは、過去の経験のエッセンスだけを生かすということと認識せよ、と言っている。だから、自分の経験を出来る限り抽象化する必要があると説く。

さらに、転職をするということへの恐れの克服として「声をかけてくれた人は、その人なりに私の能力を値踏みして、勝算ありと映っているのだろう」と考えることにした、と言う。一緒に仕事をしませんか、と言う人にとっては、筆者は「1つのソリューション」なのである、仕事をする側は、させる側にとって「商品」なんだと、実にクリアな視点を紹介している。

筆者は日本企業のリストラは、この先も続くと言う。理由として、企業はいったんリストラの味をしめると元には戻らない、としている。不安な時代だが「ものは考えよう」だ、と読者を励ます。自分のキャリアの中からエッセンスを抽出すれば、生かすための次の仕事待っているはずだと。そう信じたい。信じるためになにをすれば良いのか、本書にその指針は書かれている。

プロジェクトXリーダーたちの言葉

【著者】今井彰【出版社】文藝春秋
【発刊年月】2001年08月10日【本体価格】1,238円
【ページ数】221p【ISBN】4-16-357670-3

●南極越冬隊長 西堀榮三郎の言葉
「とにかく、やってみなはれ。やる前から諦める奴は一番つまらん人間だ。」
本書 127p より抜粋

不可能を可能にした無名の日本人たちを紹介した、プロジェクトX-挑戦者たち…というNHKのテレビ番組がビジネスパーソンの間でひそかな人気を集めている。ことを成し遂げたプロジェクトリーダーたちに、視聴者が強く共感を寄せているというのだ。

この番組を見て感動のあまり涙する、そんな人が増えているらしい。元気のない今の日本、少しでも奮い立つような刺激を受けて、頑張りたいという現れだろうか。または、今の不況の風が吹きまくる逆境の中、挫けそうになる自分と、苦労していたプロジェクトを重ね合わせているのかもしれない。

本書は、その番組内で紹介したプロジェクトリーダー18人の言葉を厳選して紹介する内容になっている。「ゼロからの挑戦」を行っているリーダーたちが勝負どころで発した、飾り気も計算もないが言葉の数々。それらに説得力がないはずはない。一つ一つが実に重々しく、そして、輝いている。

例えば当時世界一のテレビ塔である東京タワーを建築したとび職の頭は、時には命を落とすかもしれない職場に、なぜ果敢に挑むことが出来るのか?という質問に対して、「愛でしょうね、仕事に対する。お金とか名誉とかってのは、あんまり考えないですよね、われわれは」とさりげなく言う。仕事に対する愛。無骨な男が発するその不似合いな言葉には、痺れてしまう。

また、ホテルニュージャパン火災の時に、炎の中飛び込み救出活動をした伝説の消防士の時々見る夢は「逃げ遅れた人が迫ってくるんです。一生懸命こっちに来ようとするんです。だけど、何かが邪魔して来れないんです。助けに行くぞとがんばるんです。どんなことをしても助けようと。だけど、たどり着けない」と悔しそうに語る。切ない夢で心を痛める人が…ここにいる。

前書きにこうある。リーダーの言葉が、明確で先鋭であれば、その集団はためらうことなく目標に向かって突進することが出来るのだと。資金にも組織にも恵まれないだろう新たなる挑戦を行うとき、リーダーの資質と存在感が何より大事になってくるのだと。

本メルマガの読者の皆さんの中にも、職場で家庭で、リーダーになっている方も多いはず。何の巡り合わせか、その集団が想像を超えるような逆風にさらされた時、リーダーとしての皆さんの行動が、その集団のすべての命運を背負うことになるはずだ。そんな時、この番組のリーダーたちが持った共通のポリシーを思い出すと良いだろう。「思いは、かなう。」一読を薦める。

究極のビジネスマン ゴルゴ13の仕事術

【著者】漆田公一&デューク東郷研究所【出版社】祥伝社
【発刊年月】2001年07月23日【本体価格】1,500円
【ページ数】242p【ISBN】4-396-61128-5

●ゴルゴは決して握手をしない。でも、バカはところかまわず握手を連発する。●ゴルゴは商談で無駄話はしない。でも凡人は相手にコビを売ってしまう。●ゴルゴは仕事の道具を自分流に改造する。一方、バカは使えもしない新商品に飛びつく。(後略)
本書 見返し より抜粋

ゴルゴ13…デューク・トウゴウ。狙撃成功率99.9%を誇る世界最高のスナイパーだ、って、漫画の話ですが…。現在120巻を超える刊行を誇る日本有数のこの漫画を知らないビジネスマンは少ないだろう。その彼の失敗しない仕事術を、いくつかの視点で分析したのが本書である。この本、一見冗談本に思えるのだが、これがなかなか面白い。

本書の前書きにもあるが、高い成功率を誇る彼の仕事術(=取り組む考え方やルール)は、ビジネスパーソンにも見習うべきものが多い。本書では、デューク・トウゴウの思想と行動、理念と実践、哲学を、35のビジネスシーンに分類。同時にフィクションのデューク・トウゴウと比較するために「秀才・凡人・バカ」と分類された現実の人々の行動も紹介している。

例えば「報酬」について。秀才は「報酬の額に見合った仕事をする」凡人は「報酬と仕事量のアンバランスに気がつかない」バカは「とにかく報酬に目がくらんでしまう」と看破。しかし、デューク・トウゴウは「雇い主がどれだけ自分を真剣に使おうとしているかを知るために報酬を受け取る」としている。どういうことだろうか。

ゴルゴは多額の報酬を前金で要求する。何故だろうか。それは相手の真意を測るためである。まあ、殺人を行うわけだから、当然といえば当然だけれども…。現実、自分が求められている、という視点で、自分の仕事を考えるビジネスパーソンはそうはいないだろう。しかし、自分の求められ方=客観的な評価をきちんと意識して仕事をすることが大切なのは、当然のことだ。

そのほかにも、「顧客」「コンタクト」「ビジネスツール」「経費」など…さまざまなシーンにて、デューク・トウゴウに学ぶべき法則を抽出しているのだ。自分の行動は「秀才」なのか、それとも「バカ」なのか、それを図る物差しにもなっていて(そういう意図でこの本は書かれていないだろうけれども)、今の自分をビジネスアクションをチェックするのにモッテコイだ!

成功に偶然は存在しない、ということを、その仕事振りで私たちに教えてくれるデューク・トウゴウ。スーパービジネスパーソンでもある、彼の生き方から、学ぶことは実はとても多かった、ということが本書を読めばわかる。ファンならずとも、一読をお勧めする。筆者の「妄想」がたっぷり入ったコラムもかなり面白い。でも、ゴルゴが上司なら…ちょっと嫌だなぁ。

テクノ・ヒーローの伝言

【著者】滝田誠一郎【出版社】小学館
【発刊年月】2001年08月01日【本体価格】1,200円
【ページ数】285p【ISBN】4-09-346421-9

「特許を申請できるくらいの成果を上げても、それでも正規のテーマとして認めてもらえない。ならば実験機を作ってデモでも見せてやろうじゃないか、と。ベル研でやっているレベルのことだったら、あんなものすぐにできるさとかいって実験機を作りました」(中略)日本初の文字読み取り装置が完成する。が、それを見ても課長の評価は変わらなかった。
本書 144 p より抜粋

本書カバーの折り返しにこうある-「20世紀後半に活躍し、日本を世界に冠たる技術大国にした陰の立役者たち」を本書では「テクノ・ヒーロー」と名づけた-と。怒濤のように世界を席巻した「メイド・イン・ジャパン」を生み出した17人の物語である。面白いに決まっている。

世界にはばたいた日本製品…どのようなものがあるだろうか。例えば「チキンラーメン」「ジャスピンコニカ」「ウォークマン」「写ルンです」「プリウス」-それらのすべては、実にオリジナリティ溢れるものである。その素晴らしい製品を開発するに当たって、開発者たちは、何をどう考えていたのだろうか。

日本語ワープロを開発した東芝の研究者は、入社後に与えられた研究テーマにおいて、アイデアを出せども出せども、先人が必ずいる。もう研究は嫌、と思った矢先に、あまり人の手に触れていない研究テーマを見つける。会社には内緒(=アンダー・ザ・テーブルと呼ぶそうだ)で研究を始める。そして、3年経って、その研究が会社に認められ、ワープロ開発の糸口となる。

ボンカレーを完全な製品として世に出した大塚化学の研究者は、不完全だった製品を見て、自らの技術を会社に売り込む。完全な製品化に成功するも、20年後に左遷されてしまう。が、好きなことをやって良いと言われ、海外をブラブラすることに。そこで見つけたマイクロ波による食品加工技術を応用して、「あ!あれたべよ」を作ってしまうのである。

そう、彼らの話は一様に面白い。分野は違うはずなのに、皆同じように自分たちの技術に信念にも似た自信を持っている。また、どんな難題にも「考える」という、実にシンプルな行為で乗り切ってしまう。「絶対にできるはずだ」「何としてでもやらなければ」「断固としてやるべきだ」-著者の言葉を借りれば「開発者魂」を持って製品開発をしているのだ。

ひとつひとつのエピソード中に、自分の仕事に応用できるスキルが隠されている…と言うわけでも別にない。しかし、読んでいて、ワクワクする、ドキドキする、そして、自分の普段の仕事振りを見直し、そして…。明日からしっかりと頑張ろうって、やる気になるのだ。つまり、ビジネスパーソンに元気を与える、そんな本である。ぜひとも、手元に1冊常備ください。

コンサルティングの悪魔

【著者】ルイス・ピーノルト【訳者】森下賢一【出版社】徳間書店【発刊年月】2000年10月31日【本体価格】1,800円【ページ数】406p【ISBN】4-19-861256-0

コンサルタントという職業は、現代において、親の七光、遺産、コネ、特殊な才能などに恵まれなくても、少し頭がよく、ことにその回転がよければ、普通のサラリーマンにはとても望めない莫大な収入、パワー、早い昇進などを実現することが期待できるキャリアだということが(中略)理解できる。
本書 404p より抜粋

コンサルタント…確かに不思議な商売である。その分野でのエキスパートではない彼らが、一定のメジャー(=このハカリがミソなのだが)とノウハウを持って、企業再建などを担っていく。そんなコンサルタントの「裏=悪魔的な部分」を、赤裸々に描いたのが本書である。少し古い本ではあるが、とても面白いので紹介しておきたい。

本書では、コンサルタントになるための方法から、コンサルタントの日常、その社内での人間関係、プレゼンテーションや提案書作成のテクニック、はたまた、ストレス解消法まで、事細かに書いてある。それらは、とてもドラマティックな文章で紹介されており、読むものを飽きさせることがない。ノン・フィクションではあるけれども、よく出来たドラマのようなのだ。

例えば、恐怖の階級制度…という章では、コンサルタントにおける最悪の恐怖の一つに「失敗しつつある任務の中心に収まってしまうこと」をあげ、実際に筆者がそうなってしまったケースを書いている。そして、まとめには、「コンサルタントは失敗しそうな任務をどうやって予知するか」として、教訓が述べられている。この、各コラムのあとにあるまとめは絶品である。

ドラマティックに仕立てられた事実を、コンサルタントらしい分析で、ある種の「教訓」としてまとめ上げている。ここを拾い読みするだけでも、本書を手にする意味はあるだろう。

先の章の例では、入れ込みすぎない・内部からの危険信号を無視しない・誤った信頼を持たない・データの量にこだわらない・クライアントの事業との疎隔感に気をつけること・予定された会議への欠席や結果提出の遅延が続くと危ない…など、10の項目がまとめられている。どれもなるほどと、思わず唸ってしまう。

筆致はとてもネガティブである。しかし、ビジネス社会における様々なノウハウを、別の側面から描き出している、と言っても過言ではない。その面白さと、詰まっている知恵を考えると、お買い得な本だろう。一冊でしばらく楽しめます、お勧め。でも、コンサルタントって、こんな人ばかりではないですよ、この点はお間違えのないように!

マッキンゼー式世界最強の仕事術

【著者】イーサン・M・ラジエル【訳者】嶋本恵美/田代泰子
【出版社】英治出版【発刊年月】2001年04月20日
【本体価格】1,500円【ページ数】262p【ISBN】4-901234-11-0

よい仕事上のメッセージには、簡潔、完全、構造という三つの特徴がある。ボイスメール、電子メール、社内連絡メモを送るときに、この三つの点が守られていればメッセージは伝わる。
本書 190p より抜粋

社会全体の情報化が高度に進み、仕事をする=情報を処理する、という時代になってしまったようである。それにより、今までの仕事のやり方ではスピード不足となり、先輩だからといって、あとから入社した新人に、おいそれと仕事を教えることが出来ない状態に、実はなっているようだ。そこで、仕事のハウツー…今、あらゆる仕事術の本が売れている。

マッキンゼー・アンド・カンパニーは、本書にもあるとおり、世界的にもっとも有名な戦略コンサルティング会社の一つである。そのメンバーには著名人も数多く、優秀な人材が強力な組織を築いていると評判だ。その組織体の中で作られた仕事術、否が応でも期待してしまう。そして、事実、この書籍はとても売れている。

本書の内容は実に簡単なモノである。事実に基づいた、構造的な思考に、プロとしての誠実さを結びつければ、ビジネスの目標への道を歩むことが出来る、これだけだ。しかし、すべてのビジネスパーソンの行動の基本は、この簡単なプロセスに集約されていると言っても過言ではない。そう、これさえ出来れば仕事は出来るのだ。

本書ではまず、ビジネスにおける問題をどう考えるか、ということをレクチャーしている。解決法の作り方、問題解決への重要法則など、いずれもこのメールマガジン読者なら、良く知っていることではあるだろうが、コンパクトにまとめられていて、頭の整理になる。そして、具体的な解決方法、解決策のプレゼンテーション技法へと続く。何れも簡潔で的を得たコラムだ。

さらに、マッキンゼーで生き抜く方法として、厳しい競争社会を生き抜くためのノウハウが提示されている。自分だけの師匠(メンター)を見つける、良きアシスタントを確保するなど、仕事そのものよりも、仕事をするための環境について、幾つかの有益なアドバイスがなされている。自らのビジネス環境を改善するためのヒントが、多く含まれているはずだ。

本書の腰帯にこうある。「知識・情報を詰め込む前に、ビジネスの基本思考を学べ!」…情報処理が仕事になりつつある今のビジネス社会ではあるけれども、情報を処理するためのエンジンがしっかりしていないと、仕事はままならない。実に当たり前のことである。本書を読めば、その当たり前のことが確実に出来るようになりそうだ。自らのスキルチェックとして…どうぞ!

口コミ伝染病

【著者】神田昌典【出版社】フォレスト出版
【発刊年月】2001年03月10日【本体価格】1,500円【ページ数】274p
【ISBN】4-89451-109-6

口コミに関する研究が少ないのには、理由がある。口コミには、「お客様に奉仕していれば、自然に起こる」「コントロールできない」との迷信があるからである。この迷信のために、口コミを主体的に活用しようと思う会社がほとんど現れない。(中略)この本は、口コミ・パワーを強める方法を、誰でも即、実践できるように書かれている。
本書 6ページ より

今回は、職務上の直接的なメリットを受ける人は、そうたくさんはいないだろうけど、実に面白い一冊を紹介する。今マーケティングの世界では、その効果が見直されている「口コミ」について、今までの常識を覆すセオリーをたくさん紹介した、いわゆる「目からウロコが落ちる」本である。

従来のマーケティング業界の常識としては、口コミは自然発生的に生じるもので、コントロールやプロモーションは難しいとされていた。本書はその常識を覆す、口コミをある程度こちら側から起こしてやり、自らの顧客自身が「宣伝媒体」となるプログラムを提示している。その仕組みは明快で、実践が容易であるようだ。読んでいて、力が湧いてくる、そんな内容である。

さて、詳しい内容は本書を手にとってもらえばわかることだが、ここでは本書をまったく違う視点で読み解いてみたい。本書の筆者は2500社の顧客を抱える、カリスママーケッター。本書を読む限り、絶大な信頼を寄せられているようだ。その信頼の秘密は、本書をよく読んでみるとわかる。

まず、文章が平易である。読んでみればわかるのだが、単にカンタンというわけではなくて、読み手のレベルとニーズに合わせてある。次に、引いてくる様々な事例が適切で、スキルの理解をサポートすると同時に、実践をする際のイメージトレーニングになっている。さらに、スキルの理解から行動までが、押し付けがましくなく、しかし、一直線で設定されている。

賢明な皆さんは、すでにお分かりだろう。この本は、どのようにして相手を説得すれば、その相手は十分に得心するのか、という「ギミック」が満載された本なのだ。どうすれば「きっかけ」が掴めるか、どの例をあげれば相手が「イメージ」しやすいか、どうすれば相手が「行動」を起こすか…。きちんと読めばすべて書いてある。これは、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルであるはず。

スキルアップのための読書に大切なことは「雑食」であると言って良い。要は、自分には関係ない分野だからといって、書店に並ぶ面白そうなビジネス書を読まずにいることは、実は大変な損失なのだ。多方面の「ビジネス力」を形成するためには、好き嫌いせずになんでも食べることをお勧めしよう!

構想大学デザイン学部

【編】ATAデザインプロジェクト【出版社】プレジデント社
【発刊年月】2001年01月25日【本体価格】1,400円【ページ数】237p
【ISBN】4-8334-9065-X

構想デザインとは構想と解決(実践表現)である。成長から深化、成熟化への道を歩む転換期に新たなシステムをデザインする、一人ひとりの幸福、満足のために生産し、サービスする、社会システムも変える(中略)「構想デザイン」は新たな言葉であるが、組織や個人の経営資源となることは間違いない。
本書 講座終了の言葉 より

デザインと聞いて思い浮かべるのは…グラフィック、プロダクト、建築、インテリアなどだろう。本書でいうところのデザインとは、表現を主体とする狭義のデザインではなく、この言葉が本来持っている「構想、発想」という意味で用いられている。その範囲は「DNAのデザイン」から「国のデザイン」まで、とても幅広い。

本書では、新しく広い意味でのデザイナーを、様々な分野に訪ね、その行動におけるポリシーをまとめている。紹介されている24人は、構想を持ち、方策を示し、実践すること、それを「デザイン」としている。これからのビジネスマンとして、もっとも必要とされる能力そのものではないか。

例えば、セレクトショップ・ユナイテッドアローズの重松社長は、事業は拡大するばかりではない、ビジョンをデザイン化するために起業したんだ、という潔さから、想いをカタチにするための人材配置、コンセプトデザイン、編集作業だという店作りに注力する。その視点は、プロジェクトをマネジメントする際に参考になるだろう。

「事業構想学部」というユニークな学部を持つ宮城大学の野田一夫学長は、本書の中で構想とは「発想を計画に結びつけるまでの仕事のプロセス」である、と述べている。また、各種のプロジェクトで、終始キーマンとしての役割を果たせる人材にとって、「構想」という概念は、基本的職能であり、かつ必須資質であるとしている。

先端・営・感性・共生・社会・育…の6分野で、時代の最先端を走る「構想デザイナー」たちの話はとても興味深く、そして、かなり刺激的だ。彼らの共通点である、新しい視点の持ち方、既存の枠を越えて新領域を作り出す能力、時代を読み取る優れた先見性、それらが、それぞれの立場から、自身の言葉で語られる。力に満ちたその言葉は、読むだけで元気が沸くようだ。

最近流行している多くのビジネス書のように、エッセンスを抽出というスタイルではなく、書名でもわかるように、それぞれの人物による講義仕立てになっている。興味のある項から読み進められるところも嬉しい。すべてのビジネスマンが「デザイン」という視点を持つことを願って、この本を強くお勧めしたい。

ポケモンストーリー

【著者】畠山けんじ/久保雅一
【出版社】日経BP社
【発刊年月】2000年12月10日【本体価格】1,400円【ページ数】542p
【ISBN】4-8222-4199-8

ポケモンは、人々の予想をいつも覆します。ポケモンカードも(略)「コロコロコミック」の綴じ込み付録のカードに刺激された子どもたちは、発売と同時にポケモンカードに殺到しました。難しいゲームだと言われ、任天堂をはじめとする玩具メーカー、卸問屋、小売店に敬遠されていたにもかかわらず
本文 244p より

アニメやコミックスなどと並んでテレビゲームは、ある意味、世界に誇る日本の製品であると言ってよいだろう。その中でも「ポケモン」ことポケットモンスターは、世界中の子供たちのハートをつかみ、虜にしている、ナンバーワンの製品だ。本書は、そんなポケモンが描いたサクセスストーリーを、丹念な取材と担当プロデューサーの脚注という手法により、紹介している。

ポケモンについて、全く知らないという人はいないだろう。任天堂より販売されている「ゲームボーイ」という携帯ゲーム機のアプリケーションだ。ゲームの詳細は割愛するが、テレビゲームの持つ要素に「交換する」という行動を持ち込んだ、画期的なソフトであることは、あまり知られていない。

このポケモン、ゲームからアニメ、グッズなど、トントン拍子に成功を収めたと思われがちなのだが……。実は、テレビゲームにおける新しい概念をどんどん盛り込んだために、開発はベタ遅れ、ソフトウェアの斬新さに対する評価軸の無さから、ヒットまでに周辺のバックアップが無い、ヒットしたらしたで、アニメ番組が事故を起こしてしまう、なと、一筋縄で今の地位を築いたわけではないのだ。本書では、そのあたりの「苦労話」が丹念に書き込まれている。これが、ポケモンを知らない人でも、かなり面白い。

また、テレビゲームのキャラクターが、マンガに、アニメに、映画に、グッズにと、水平展開されていくのだが、プロデューサーたちの戦略的でいて、大胆な行動、緻密な計画に、驚かされること多数である。成功すべくして、ポケモンは成功したんだなと、思わず唸ってしまう。ビジネスチャンスを見つけ出し、誰をターゲット(=消費者・社内の両方)にすれば、このプロジェクトは成功するのか…。本書から、その勘所を学ぶことが出来るだろう。

腰帯に日本初の「親子で読めるビジネス書」と銘打つだけあって、本書は振り仮名がついている。大冊でもあるし、冬休みにじっくりと親子で楽しまれてはいかがかなと、お勧めする。なるほどと、膝を打つ場面が満載ですよ。

戦略シナリオのノウハウ・ドゥハウ

【著者】野口吉昭編/HRインスティテュート著
【出版社】PHP研究所
【発刊年月】1999年07月15日【本体価格】1,600円【ページ数】235p
【ISBN】4-569-60685-7

戦略は、理念&目標というビジョンを実現するための大きな方向づけ、ベクトルであり、計画・管理・業務を本来、規定するものだ。つまり、多くの意思決定を統合するルールでもある。(中略)が、この定義では、少々モノ足りない。それは、抽象的すぎるからだ。(中略)戦略の定義は、時代背景や市場構造によってニュアンスが異なって当然! 現在は、やはりFocus & Deep! がわかりやすい。
本文 25p より

あなたの企画には戦略が足りないな--と言われた経験はありますか?あると答えた人は、優秀な上司をお持ちですね、羨ましい限りです。

ビジネスの現場で戦略という言葉を耳にすることは多いが、戦略とは何なのか、きちんと理解している人はひどく少ない気がする。総花的でお題目のような言葉を戦略と呼ぶ人もいれば、実施するための計画を戦略と勘違いしている向きもある。今回紹介するこの本は、戦略とは何か、その入り口から、戦略立案の方法論まで、ギュッと凝縮された一冊だ。

本書では、戦略はコンセプトであるとしている。ここで言うコンセプトとは、従来からの「概念」とは少し違い、何かに対しての「差別的優位性」である、としている。つまり戦略とは、あるビジョンを実現するための、差別的優位性を示したものであり、ビジョン実現のために用意される、さまざまな計画の指針となるべきものである、と定義付けている。このあたりの「言葉」の整理がきちんとなされている本は、意外と珍しい。

さらに、戦略を実現するための「シナリオ」を作成するための-分析、考え方をまとめる、具体的にプレゼンテーションをするなど-ノウハウを紹介している。それぞれが、簡潔ではあるが「しなくてはならないツボ」をきちんと押さえてあるために、手引書として完成度の高いものになっている。

平易な文章と適切な図版(まとめる書類のサンプルまである)で大変わかりやすい本書は、とても魅力的だ。しかし、ノウハウだけでは、必要十分でないことも忘れてはいけない。ツールを使いこなすには、利用者側にもそれなりの「体力」を要求する。ビジネスに関する「視座・視点」をきちんと持ち合わせなければ、どんな優れたノウハウも、宝の持ち腐れとなるだろう。

このノウハウ群を積極的に「ツール」として活用することによって、企画や、戦略立案といった部分でのビジネススキルが、かなり向上することだろう。それほどに即効性の高い本である、とお勧めできる。版を重ねているようなので、手に入れやすいはずだ。ぜひ。

問題解決と意思決定

【著者】クイン・スピッツア/ロン・エバンス
【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】1998年10月22日【本体価格】2,400円【ページ数】298p
【ISBN】4-478-49026-0

混同されることが多いが、「知識」と「情報」は異なる概念である。情報に深い思索や体験を加えることによって自分の血肉になったもの、それが知識である。(中略)本書が示す「問題解決と意思決定」という枠組みはそのかなりの部分がわれわれの知識創造の枠組みと重なり合っている。
本文 日本語版に寄せて より

ある外資系企業に勤める外国人ビジネスマンと、日本の企業の会議について話す機会があった。彼は、議題が事前に通知されていないこと、その割には、その場で話し合うだけの前提を誰も持っていないこと、結論がかなりの割合で持ち越されてしまうことなど、その効率の悪さを嘆き、何とかならないのかとぼやいていた。なるほど。

よく考えてみれば、会議の進め方なんて、ビジネススキルのひとつだと思うのだが、系統立てて社員を教育している会社は、それほど多くない(はずだ)。同じように、日本のビジネスマンは、今、直面しているビジネス上の問題を解決するためのノウハウに関するレクチャーを受けているのだろうか。たいていは、先輩などのみようみまねで、何とかやり過ごしているケースが多いはずだ。

本書は、問題解決の普遍的な手法として、クリティカル・シンキング・プロセスと題して紹介している。触りだけ紹介すると、それは、4つの思考プロセスからなる。

まずは「状況把握」=これは、起きている問題を特定するために考えられるウイークポイントを洗い出し、優先順位をつけるプロセスである。次に「問題分析」=これは、先ほどあげた問題点の中から、真の原因を見つけ出すためのプロセス。そして「決定分析」=問題点に対する対応策を検討し決定するプロセス。最後に「潜在的問題・潜在的好機分析」=簡単に言えば決定された対応策を実施し続けるためのプロセスである。

どれも、簡潔ではあるが、ツボを得た解説がなされていて、頭の中がどんどん整理されていく感じすらする。上にあげたプロセスは、至極当たり前のことであるはずなのだが、意外と出来ていないことでもある。ハウツーとして整理されていれば、有難いことこの上ない。そのほかにも、情報過多を克服するための方法、システム思考を行うためのコツとツボ、意思決定にかかわる価値観の作り方など、興味深いコンテンツが盛りだくさんである。

冒頭に引用したが、「知識」と「情報」は異なるものである。ビジネスハウツー本にある情報を、うまく知識化する、その方法論が明示されているこの本、ぜひとも手にとるべきだろう。

知られざる特殊特許の世界

【著者】稲森謙太郎【出版社】太田出版
【発刊年月】2000年08月04日【本体価格】1,600円【ページ数】258p
【ISBN】4-87233-526-0

もしあなたが、会社の仕事の一環として発明しようと考えているのなら、その発明は、会社のもとのなってしまう可能性が高いということだ。というのも会社の従業員の場合、ふつうはその入社時に「職務発明(会社の業務範囲に属し、発明をするに至った行為が現在または過去の職務に属する発明)は、その特許を受ける権利を会社に事前譲渡する」といった内容の雇用契約を結ばされることが多いからである。
本文 256p より

「特許」とは、周りに溢れているはずのものだけれども、ほとんど縁のないモノでもある。ビジネスモデル特許が話題だけれども、多くのビジネスマンは、特許そのもののことは、ほとんど判っていないだろう。本書は、フツーの人にも読める特許の本を作りたい、という著者の思いが形になったものである。表題の「特殊特許」とは、著者特有の言葉で、出願者がフツーじゃない、技術の内容や解釈がフツーじゃない、権利の範囲がフツーじゃない、と、とにかくフツーじゃない特許をこう呼んでいる。そのフツーじゃない特許を糸口に、特許と言う世界を解きほぐしていく。

特殊特許は、松下電器が考えた「漫才人形」や、小室哲哉が出願した「時計型シンセサイザー」、大仁田厚の「特殊リング」、鈴木その子の「ダイエット食品特許」など、興味深いものが多い。その一つ一つの特許を、発明者へのインタビューと、一般人にもわかりやすい解説、という構成で紹介している。本文そのものもかなり面白いが、派生していく話題、例をあげれば、大仁田厚の「特殊リング」の解説から、プロレス技は特許が取れるのか、というあたりは、なるほどと思いながら、笑ってしまう。

本稿の読者にとっては、この特殊特許の部分は「頭の休憩」的な部分であり、実は、本文に挿入されている「コラム」を一押ししておきたい。「知的所有権について」「特許の取得方法」「特許の範囲」「ビジネスモデル特許について」などの、特許に関する広く一般的な知識が、コンパクトに面白いエピソードと一緒にまとめられている。特許に関する入門書を読めば良いのだろうけれども、その無味乾燥さから比べると、やはりこの本は「出色」の出来である。

これからの時代、ビジネスマンに必要な基礎知識のひとつとして「特許」ははずせないように思う。アイデアがビジネスになる時代、その権利に関する知識は、広く浅くでも良いから知っておくべきだろう。シニカルな笑いに包まれたこの本で、サクッと知的武装しよう。

花森安治の編集室

【著者】唐澤平吉【出版社】晶文社
【発刊年月】1997年09月30日【本体価格】2,100円【ページ数】269p
【ISBN】4-7949-6322-X

「(略)それよりぼくからきみたちにいっておきたいことがひとつある。それは1年間、なぜと訊かないでほしいということだ。ここでは朝から晩まで、なぜと訊きたくなることが山ほど出てくるはずだ。しかし、訊かないでほしい。そんな質問にいちいち答えていたら、こっちはしごとをしている間がない。百万言ついやしてわかるならいいが、ことばではわからないことがある。だから、なぜと疑問におもったらじぶんで考えてほしい。1年もすればわかるだろう。これだけだ」
本文 35p より

花森安治とは、日本のメディアの中でもひときわ異彩を放つ雑誌「暮しの手帖」初代編集長である。筆者は、その伝説の編集者の元で、編集部員として過ごした。本書は、厳しくも実りある日々を綴った評伝である。ハウツー本ではないので、ビジネスシーンにおける具体的なノウハウが書かれているわけではない。しかし、底に流れる「ビジネスの基本」という水脈を自ら見つけることで、必ず役に立つはずだ。

花森は編集部における「独裁者」であった。引用部分は聞きようによっては部下を信頼した発言におもえるが、他のページをよく読むと、実は、考えるのは自分だけで良い、周りは手足であれば足るのだ、と言い放っている。ひとつのものを作り上げる過程で、そのすべてを思うが侭に作る、しかし、すべてに神経を行き届かせる。同時に、出来あがったものすべてに対して責任を取る。この頑ななまでの「職人的」な姿勢は、今のビジネス社会で忘れ去られている部分である。仕事をする上で肝に銘じなければならない、見なおすべき視点だろう。

またこの独裁者は、折に触れて、自らのポリシーをスタッフに明確に伝えている。なぜこう考えるのか、どうしてこのような作業をしなくてはならないのか。仕事に対してかかわる人々の間での意思疎通。リーダーがもっとも配慮しなくてはならないポイントであるが、それは一番難しい作業でもある。人間関係の調整と言うだけでなく、すべてのスタッフに対して思想を浸透させることも重要である、ということを本書は教えてくれる。

ビジネス社会における個性的な成功者の評伝を読むことはとても楽しい。自らのキャリアアップの一助になると言う以上に、その生き様が痛快であったり、悠揚迫らぬ風格があったりと、読んでいて飽きることがないからだ。こんな凄い人がいるんだなと、読後に元気が沸いてくるのが嬉しい。少し前の本なので、入手が難しいかもしれない。大型書店、図書館、古書店などで探してほしい。疲れが出てくるこの時期、一服の清涼剤としてお勧めしておく。

総解説・ビジネスモデル特許

【著者】牧野和夫/シドニー・ハント・ウィークス/河村寛治
【出版社】日本経済新聞社
【発刊年月】2000年06月07日【本体価格】1,600円【ページ数】189p
【ISBN】4-532-14835-9

コンピュータ2000年問題が何ごともなく過ぎ去った今日、もっとも脅威となるビジネスリスクは何であろうか。米国のビジネス関係者は、おそらく口を揃えて「ビジネスモデル特許」と答えるだろう。反対に、eビジネスの拡大の後で、金脈を掘り当てるような一攫千金のチャンスはどこに転がっているのだろうか。この質問に対しても、米国の多くのビジネス関係者は同じように、「ビジネスモデル特許」と答えるだろう──。
本文 はじめに より

ビジネスモデル特許──。ビジネス雑誌などで、しばらく前から頻繁に目にする言葉である。本書では、この注目される新型特許の全体像を、順にビジネスモデル特許の概念、先進国であるアメリカの具体的な事例、今後のアメリカの特許政策の方向性、日本での実例と特許法との位置付け、今後の企業としての対応策と、さまざまな側面から、詳細に解説している。ビジネスモデル特許とは何ぞや、この本を読めばある程度はわかるようになっている。

ビジネスモデル特許とは、カンタンに言うと「主にITを利用して実現したビジネス手法を対象にして取得された特許」のこと、とある。従来の特許法などでは、認められないだろうと思われていた、アイデアや手法などが、IT関連であれば特許とみなされていく。それは、アメリカの特許保護政策もさることながら、インターネットを中心とした技術の進化のスピードと、浸透の速度に合わせたものであると言うことが、本書を読み進めていくうちにわかる。

そのほかにも、「あなたの会社が警告書を受け取ったら」という、実に興味深い項もある。警告書の内容だけでは不十分な場合が多いから、特許侵害の理由を明らかにしてもらうことが第一である、というところから始まって、どういうプロセスで対抗していくのか、が書かれていて、実務者でなくとも、かなり面白い。インターネットがこれだけ普及すると、いつ何時、自分の業務範囲内が、ネットワーク技術とかかわってくるかわからない。突然、ビジネスモデル特許と、格闘しなければならなくなるだ(ヤヤ大げさか?)。知っておいて損はない。

ビジネスモデル特許を解説した本は多数出版されているが、易しすぎず難しすぎないベストバランスの本書を、このコーナーではお勧めしておきたい。「ビジネスモデル特許」が気になるヒトは、本書でまずアウトラインを掴むと良いだろう。

広井王子の全仕事

【著者】出山健示 【出版社】毎日コミュニケーションズ
【発刊年月】2000年04月07日 【本体価格】2,857円 【ページ数】 191P
【ISBN】4-8399-0259-3

目の前には小さな革製の旅行カバンがひとつずつ置かれている。ペタペタと無造作に貼られたステッカーが異国情緒を醸し、旅ごころを刺激する。どの顔にも一様に、この意表を突いた企画書に戸惑いを隠せない。──企画書? そう、テーブルの上にズラリと並んだ小さなカバンは、広井王子によって、「これが企画書です」と配られたもの。この日レッドカンパニーが提案する企画書だという。
本文「企画書芸術論」より

「サクラ大戦」シリーズや「天外魔境」シリーズなどで、ゲームファンにはおなじみの、クリエーター・広井王子。この本は、ゲームクリエーターとしての枠を超え、マルチに活躍する彼の仕事振りを、一冊にまとめたものである。これがかなり面白い。

B級クリエーターを自認する広井。その理由を「自分は新しいものを作り出しているわけではない。子供のころのキラキラした思い出を、今の時代に合うようなカタチでよみがえらせただけ」とする。しかし、これは、蓄積された情報を、加工してカタチにするという、当たり前の企画技法だ。別段珍しいことでもない。広井は企画をするということ重視していて、「企画自体が技術。コトを起こすための技。だから技術料が派生するのが当たり前」と考えている。そして、B級と言っている割には、「私の企画料は高いですよ」と公言しているらしい。プロとしての高い意識を感じると同時に、無形なものに金をかけたがらない日本の風潮に一石を投じている。

モノづくりにこだわる反面、例えば、遅くなりがちなゲーム発売日を守るために、作りこんであったエピソードを捨てる、という思い切りの良さも見せる。これらの行動は、すべて、お客様のために、という基準で成されている。クリエーターなのに、独り善がりにならず、客のためにという感覚を大切にしているところも、興味深い。このような、モノ作り職人としてのエピソードが満載で、広井のことを知らずとも、十分に満喫できる。

筆者の力量不足か、見出しの割には中身が薄い部分もあり、全面的に満足と言うわけにはいかない本ではある。しかし、次の二つのコトは学べる。「ヒトの心を捉えるにはどうすれば良いのか」そのエッセンスが、この本には散りばめられている。それと「案外オーソドックスなスキルで新しいエンター テイメントは作られている」ビジネスを成功させるスキルは、案外「ヒトに好かれる」ってトコロにあるんじゃないか。そんなことを気づかせてくれている。探して読んでみて欲しい一冊だ。

戦略コンサルタントビジネス・スキル・ブック

【著者】小河光生【出版社】東洋経済新報社
【発刊年月】1998年11月06日 【本体価格】2,200円 【ページ数】 254P
【ISBN】4-492-53048-7

自社の先輩のノウハウを当てにできない今、自ら新しいスキルを開発していかなくてはならない。そのためには自らのスキルをまず、全て「棚卸し」して、時代に合わないスキルを捨象し、ビジネスの原理原則まで立ち戻る必要がある。そして、この本の内容が新しい「ビジネス・スキル」取得の端緒になってくれれば、と願っている次第である。
本文「はじめに」より

経済誌を開いても、ビジネス雑誌をめくっても、そこにはいつもコンサルタントがいる。まさに引く手数多、時代が彼らを求めているのだろう。現代のビジネスマンに必要とされるスキルは、置かれている状況を的確に把握し、最短距離で適切な戦略を実行できるか、と言うことに尽きる。

しかしながら、的確に状況を判断するためには、どうすれば良いのか。把握した状況を分析するには、何を基準にすれば良いのか。分析から導き出された状況を改善するためには、どのような戦略を立てれば良いのか。これらを系統立てたスキルとして持ち合わせているヒトは少ない。コンサルタントは、これらのスキルを持ち合わせていないとできない仕事。まさに、全てのビジネスマンに、コンサルタント的要素が求められる時代になったのだ。

本書は、コンサルタント的要素を持つヒトのことを、付加価値型人材として、その人材とは、いったいどういうヒトなのか、また、そのような人材になるためには、どのようなスキルが必要なのか、ということが、簡単にまとめてある。ざっと目を通してみると、どのような能力が要求されているのかが、良くわかるようになっている。

付加価値型ビジネスマンになるための、基本的なスキルとして、「情報の練りこみ方」「様々な戦略や方法論を知ること」を紹介。また、各論として「財務会計」「マーケティング」「マネジメント」それぞれの分野の、必要とされるポイントが、わかりやすくまとめられている。時代が求めるビジネスマンになるためには、何を知っておかなくてはならないか、その道しるべとして、適当な一冊だろう。

自分に足りない(コンサルタント的)スキルはいったいなんなのか。この本でチェックしてみることをお勧めする。

デザインマネジメント戦略

【著者】佐藤典司【出版社】NTT出版【発刊年月】1999年04月30日 【本体価格】2,300円 【ページ数】 257P 【ISBN】4-7571-2013-3

いまや、商品の基本的機能の価値が主体で、商品の発する情報価値が従という時代は終わった。もちろん、その力関係は個別の商品によって違うだろうが、おしなべて、消費における情報価値優位の時代は、ますます動かしがたいものとなりつつある。
本文18ページより

ドラスチックに変わる消費者のこころを的確にとらえ、商品やサービスの魅力をアップさせる情報価値創造の定石を、本書では解き明かす。腰帯にある「ヒトは、商品そのものの性能も大切だけれども、それ以上に、付加されている情報に消費行動が左右されている」ということを、実にわかりやすくまとめている。本書は二つのパートからなる。まず、情報消費社会論と題して、情報消費社会という新しい概念を、詳細に提示し、つづいて、デザインマネジメント戦略とし、情報消費社会に企業が対応するための、マネジメント手法を、具体的に提示している。

情報消費社会論では、情報は「何かとの差」であるとし、その価値は「他との相対的なもの」であるとしている。一過性の流行、と片付けられていた現象も、実は、その商品が持つ情報の他商品との差異が、ライバルの追随か、自らの販売拡大によって自然に埋まったからだとし、消費者の飽きっぽさを嘆くのは、多くの場合間違いだとしている。売れすぎるから、商品価値が下がる、それは、その商品が、機能を求められているのではなく、その商品についた情報を求められているからに他ならない、とするこの視点、特に目新しくないが、明快になっていた話でもない。なんとなく、わかっていたことを、クリアにされていく快感が、この本にはある。

デザインマネジメント戦略では、デザインマネジメントを実践していく上で必要なスキルを、目標設定、管理手法、人材、組織づくりなどの、多方面から示唆している。情報と、その価値を論じる本は多数見ることができるが、情報の価値を見出し、その価値を作り出すためのスキルを詳細に論じた本は少ない。その部分でも、特筆すべきだろう。

講義を思わせる丁寧に順を追った説明と、饒舌とも感じるかもしれない砕いた文章が、本書をわかりやすいものとしている。難を言えば、つまみ食いしにくい本ではあるが…。ゆっくりと噛み含むように読むと、なるほどと思えるはず。情報の本質を掴むためには、一読しておくべき本だろう。

ティッピング・ポイント

【著者】マルコム・グラッドウェル【出版社】飛鳥新社
【発刊年月】2000年03月15日 【本体価格】1,700円 【ページ数】 310P
【ISBN】4-87031-394-4

ティッピング・ポイント[THE TIPPING POINT]
あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと。
同書 見返し より

あらゆる流行の感染には原因がある。同書では、流行=感染であるとし、その「病原菌」を探すことで、流行の仕組を構造的に説明しようとしている。その試みが、まずとても興味深い。伝染病が感染する仕組は、病原菌を運ぶ人々、病原菌そのもの、病原菌が作用する環境、その三つの関数である、と同書では説明している。それらの要因を、流行になぞらえると、少数者の法則、粘りの要素、背景の力、とし、詳細な解説を行っている。すべてを説明する余裕はないので、少数者の法則の触りだけを紹介する。

まず、流行が生み出されるのは、ごく限られたキーパーソンが、発信源となって起きている、と述べている。そのキーパーソンは、社交的で、活動的で、知識が豊富で、しかも、仲間内に影響力がある、といった事柄にぬきんでているヒトであるとしている。これらの要素を持たないヒトが発信する情報と、持つヒトの発信する情報では、伝達力に格段の差が生まれるらしい。また、それぞれも、能力により、コネクター、通人、セールスマンと分類されている。それぞれがどういう特性があるのかは、同書を読む楽しみとして残しておこう。ここでは書かないが、なるほどと膝を打つことは、請け合いだ。このキーパーソンをどう動かすか、ということが、流行づくりのカギになるとしている。

当たり前のセオリーのようだが、この手の話が、論理的にまとめられた書籍は、実はとても少ない。豊富な事例や、わかりやすい引用。文章内の重要な文言には、極端に太い文字を用いるなど、読みやすさにも配慮している。鍵穴を模したクエスチョンマークを、大きく配した装丁、内容が俯瞰できる腰帯など、書店で手にとって、楽しいものとなっているところも、評価しておきたい。

流行していく仕組を知ったからと言って、流行を作り出せるわけではないが、流行を作り出せない仕組を作ってしまう失敗は、回避できるかもしれない。まずは一読し、流行発信のセオリーを身につけておくことは、決して損ではないだろう。お勧めしておきたい。

おたずね申す日本一-食材の現場から

【著者】フライ【訳者】酒井一夫【出版社】東京図書
【発刊年月】1994年02月25日【本体価格】1,500円【ページ数】158p
【ISBN】4-489-00431-1

【著者】大本幸子【出版社】TBSブリタニカ
【発刊年月】1998年07月28日 【本体価格】1,600円 【ページ数】 315P
【ISBN】4-484-98209-9
同書 おわりに より

「料理王国」という月刊誌に連載されていた記事を、単行本としてまとめたものである。さまざまな食材の日本における最高峰を作っているヒト、その現場を訪ね歩いたルポだ。なかなかに興味深い。日本一の食材を味わいたいヒトのために、取り寄せリストまでついている親切さ。しかし、この本の面白さは、モノを作る、それに携わる人たちの気持ちを描いているところにある。

ここに紹介されている食材は、全部で二十四種類。牡蠣から始まって、黒豚、メロン、椎茸、わさび、蜂蜜、黒豆、鶏など…、多岐にわたる。採りに行くヒト、育てるヒト、立場は違うが、自然を相手にした、とても過酷な仕事である。考えようによっては、自らの力ではどうしようもない部分が多い。しかし、あらゆる知恵を持って、その困難に立ち向かうココロの持ちようは、ビジネスマンにとっても、多いに参考になる。凡百のビジネス書では及ばないほど、生産者からの言葉一つ一つが、とても重い。

例えば、マスカットを作っている岡山の浅野弘さんの話。マスカットは、作ることそのものにも手間をかけるが、それ以外にも注意が払われている部分がある。出荷の調整である。毎年出荷前に会議が行なわれ、各農家ができ具合を報告、計画出荷をする。何時何時と言う細かい日付と、その日付に出荷される場所まで指定される。がんじからめのように見えるが、それを、無理無駄を出さないシステムとし、そういう流れが、作り手を潤している、と、実にドライな感覚で実行している。しかし、その底辺にあるのは、(マスカット生産にかかわるヒト)みんなが幸せになって欲しい、と真剣に考えていることだ。

儲かって、しかも、幸せになれることを考えている。当たり前のことのようだが、実際にこのような行動がとれるビジネスマンは、ひどく少ない。キャリアアップのためのポリシーとして、持つべき矜持だと思う。そんなスタイルも、この本には溢れている。読んでおきたい。

マーケティング22の法則

【著者】アル・ライズ/ジャック・トラウト【出版社】東急エージェンシー
【発刊年月】94年01月15日 【本体価格】1,456円 【ページ数】 231P
【ISBN】4-88497-023-3

(私たちはいろいろのアイデアやコンセプトを”マーケティング”という旗印の下に提示しているが、それはあなたが会社のどの部署にいようと、またあなたの会社がどんな商品やサービスを販売していようとも有効である)
同書 はじめに より

まずこの本は、読み物としてとても興味深い。第1章で紹介される「一番手の法則」では、大西洋を最初に単独で横断飛行したヒトの名前は、チャールズ・リンドバーグだけれども、二番目に単独飛行したヒトの名前は?という問いかけから始まる。その名はバート・ヒンクラーである。このヒト、リンドバーグよりも腕の良い飛行士で、少ない燃料で、早く飛行することが出来たが…。家を出て、その妻も消息を知らないという、名誉を得ることが出来ないヒトだった。ねっ、オモシロそうでしょ。

このハナシの肝は、二番煎じの商品は、たいていは今一つで、成功する商品は、まず消費者の心に、最初にインプットされたブランドこそなのだ、ということだ。このイントロの後、アメリカでのハイネケンビールの成功の理由(一番優れた味ではないのに、最初に登場した輸入ビールであることから、今もシェアトップである)や、USAトゥディの不振の原因(はじめてだからと言ってタイミングが遅いと成功できない)なとが、平易な文章で述べられている。

このほかにも、カテゴリーの法則(あるカテゴリーで1番になれないのだったら、1番になれるカテゴリーを作れというハナシ)や、心の法則(市場に最初に参入することも大切だけれども、ココロの中に最初に入り込むのが大切と言うハナシ)、知覚の法則(ヒトの商品を選択する際の判断能力は絶対的ではなくベストの商品を提供しても消費者の心の知覚に負けることがある)、集中の法則(いくつも言葉を並べるよりもひとつの言葉を集中して植え付けるべきだ)など…。ギュッと凝縮された、なるほどと膝を打つ考え方に溢れている。

カバーにある推薦者の言葉だが、経営・マーケティングに求められるものは、概念枠組の組み立てと、分析力、応用力であるとある。その通りだ。まずは、概念の整理と、世の中を分析のための指針の概略を、この本から学んでおくことをお勧めしたい。きっと役立つ。

横井軍平ゲーム館

【著者】横井軍平 【出版社】アスペクト 【発刊年月】1997年06月09日
【本体価格】1,400円 【ページ数】 199P 【ISBN】4-89366-696-7

先端技術を用いた商品は当然コストが高くつく。しかも、そこから生まれる商品は、多くの場合他社との価格競争になりがちだ。しかし、普及をしてさらにその技術が枯れてしまえば、ウソのように低いコストで商品が作れることになる。そこで、その技術の使い道にひとひねりを加えて商品化する。これが横井式発想、「枯れた技術の水平思考」だ。
同書 27p より

横井軍平の名前を聞いて、ピンと来る人は、かなりのゲームマニアだ。古くは「ウルトラマシン」「ラブテスター」などの玩具を、さらに「ゲームウォッチ」「ゲームボーイ」などの、携帯ゲームを開発した人である。さらに「十字コントローラー」の発明者でもある。任天堂の開発部長を長く務め、退職後は会社を起こすが、不慮の事故でこの世を去った。この稀代のヒットメーカーの発想を、牧野武文という優れた書き手がインタビュアーとなり、話をまとめることで、ビジネスマンにとっても興味深いものに仕上がった。

基本的には、開発秘話がまとめられたこの本。個々の商品に関する話も十分に面白いが、巻末にまとめられている「横井軍平の哲学」という項が興味深い。例を挙げればきりがないので、ここでは簡単に紹介しておく。

筆者は、ユーザーの立場を考えれば、難しい技術を使う見栄を捨てることが大切と説き、若いヒトが、思い切った新しいことをやる際に、上に立つヒトに度量があるか、ということが問題だと喝破する。また、モノづくりは、ユーザーニーズを具現化するというよりも、ユーザーが求めていないものは何かということを探すのがポイントであると、全く新しい視点を提示する。さらに、技術に惚れ込むな、常にビジネスとしての採算を気にかける、そんな水平思考を忘れるなと、水を差す。ここには、物づくりに関わるヒトにだけではなく、あらゆるビジネスマンへの金言が並ぶ。

ヒットメーカーの発想本は、たいていの場合、自慢話に過ぎないものが多い。しかしこの本は違う。あっと息を呑むような、アイデアのヒントが詰まっている。それは小手先だけのものではない。だからこそ、全く古びていない。そして、それらはさり気なく並んでいる。気をつけて、注意深く読むことをお勧めする。

問題解決プロフェッショナル

【著者】齋藤 嘉則 【監修】株式会社グロービス【発行】ダイヤモンド社
【発刊年月】 1997年 1月 23日 【本体価格】2330円 【ページ数】206P

それでは、 自分自身の市場価値を高めるための最もベーシックで重要な スキルは何か。私は問題解決の能力であると考える。 それは、どの分野 でのプロフェッツショナルを目指すにしろ、まず「 問題解決のプロフェ ッショナル 」になることが、「 UP型人材 」として自分の市場価値を最 大限に高めることのはじまりになると考えられるからだ。
同書 P202から引用

昨今のような、従来のやりかたや、経験がなかなか通用しにくくなってきた時代においては、私達ビジネスマンはさまざまな問題に囲まれている。言ってみれば、ビジネス自体が問題解決の連続なのだから、私達は毎日なんらかしらの問題を解決していると言ってもよいだろう。同時に、問題がどこに存在しているのか、という問題の本質を発見する「問題発見能力」が重要になってきていることはよく言われることだ。

しかし、日常の業務では、なかなか問題の本質的な部分に切り込むことは出来きない。摘出した課題に対し、「これで解決できるだろう」という解決方法を実践しながらも、「この対処で本当によいのだろうか」という意識をもちながら仕事をしている人は意外に多いのではないだろうか。

さて、今回紹介させていただく『問題解決プロフェッショナル』は、「問題の発見と解決方法」に関する思考技術について述べられた1冊だ。「ゼロベース思考」と 「仮説思考」という2つの思考方法に加え、「MECE」と「ロジックツリー」という思考のための技術を紹介。これらの方法を使って、筆者の「ソリューションシステム」の全体像を紹介してくれている。

「思考の技術」という風に書かれると何か非常に特殊で難しいことのように思えるが、そんなことはない。これらの技術は誰もが、普段無意識に実践していることだ。しかし、この技術を無意識に実践するか、意図的に利用するかでは効率や、効果に大きな違いが存在する。マッキンゼーでマネージャを務めていたこともある筆者が、実践したケースを時間軸で紹介しながら上記のソリューションシステムを紹介している当書。高度な思考方法の習得を、一つのクイズを解きあかしていくようにすんなりと理解できるように構成されている。

コンサルタントという思考のプロの技術を、誰もがビジネスの現場で使えるように体系化してくれる本書。是非一読をし、問題解決の手法の技術を取得していただきたい。この技術は、貴方のキャリアの力強い味方になってくれるに違いない。

コンサルティング・マインド

【著者】野口 吉昭 【出版社】PHP研究所 【発刊年月】1999年7月15日
【本体価格】 590円 【ページ数】275P

時代の構造変革の中、 これからのビジネス・パーソンは、企業に多くの ことを望むのではなく一人ひとりが「自立」をしなければならない。組 織と自分との関係の中で、「個」 という自分がどうしたのかを自らのビジョンとして打ち出し、組織に対して影響を与える必要がある。
同書 P4から引用

近年、コンサルティング業界は、学生の就職先として大人気業界だ。コンサルタントという響きが持つ輝きと、そのやりがいのある仕事内容が、学生のハートをつかんでいるのだろう。また、キャリア採用においてもコンサルティング業界の人気は年々上昇している。それを受けてか、求人情報誌をひもとけば、様々なコンサルティングファームが、ITから経営に関するコンサルタントまで募集情報を掲載している。ということで、最近コンサルタント人気が非常に高い。

さて、今週紹介する「ビジネスマンのためのコンサルタント能力養成読本」と題された同書は、コンサルタントに必要とされる「モノの見方・考え方」をコンパクトに説明してくれる1冊だ。この一冊を読めば、なかなか想像しにくいコンサルタントという人たちが、どのような仕事をし、どのようなスキルが必要とされているのかがわかる。コンサルタントになりたいと考えている人だけでなく、コンサルタントってなにやっているのかよく解らないという人にお勧めだ。

同書で特に熟読していただきたいのが、「自分のリストラクチャリング」-自分概念構築のための自己変身と題された第3章である。「明るくなければ勝ち抜けない」「創造力の源、ポジティブシンキング」「ビジネス能力はコミュニケーション能力が原点」という項目は、コンサルタントに必要な能力ということだけでなく、全てのビジネスマンに必要な能力といって良いだろう。

「これまでの日本的企業社会の特徴は、自らが考え、みずからが行動しなくても、何とかやっていけるということだった。しかし、これからは時代を見つめ、新しい自分を構築しなければ生き残れない時代、組織に多くのことを望むのではなく、組織に対してどんな影響が与えられるかが問われる時代になったのだ」という著者の言葉からも伺えるように、コンサルタントを目指している人のみならず、自己を確立させたいと考えているビジネスマンの方に是非とも手にとっていただきたい一冊だ。

ノンデザイナーズ・ブック

【著者】Robin Williams 【訳】吉川典秀
【出版社】株式会社毎日コミュニケーションズ 【発刊年月】1998/6/5
【本体価格】1400円 【ページ数】150P

人生においては、複数のものごとが同時に存在するというダイナミックな関係が成立します。(中略)これらのページ(や人生)上での力関係は、協調、衝突、コントラストのいずれかになります。
同書 P75から引用

当[en] Career Newsのリニューアル時、最後までもめたことがあった。それは、メールマガジンのコンセプトを「キャリアプランニング」を支援するのか、「キャリアデザイン」を支援するのか、のどちらを選ぶかということだった。

そんなこともあり、私にとってこの「デザイン」という言葉が、重要な言葉になっていた。一概にいうことは出来ないと思うが、デザインの優れているものは大抵、その中身も優れているものだと思う。CDのジャケット買い(?)や、本を装丁で選んだりできるのもそんなためだ。iMacが売れているのだってあのフォルムによるところが大きい。

さて、今週紹介するこの『ノンデザイナーズ・ブック』は、デザインというものが、どいういった要素から成り立ちどういった論理で構成されているのかを教えてくれる本だ。私はこの本を読んでから、デザインとは項目の優先順位をいかにつけ、限定された空間の中で、それを実現するのかを考えることだと認識するようになった。

デザインとは単に見た目などをさすのではない。その背後にあるコンセプトや、プランをどのように実現するのかという努力に基づいた実践なのだ。(iMacを見るといつもこう思うようになった。)

何かのプランを練る時、実はデザインという要素が必ず存在している。クライアントに企画書を提出する時にも、メールを書く時にも。しかし、デザインに疎い人にとって、良いデザインや、レイアウトというのは力を入れた割に、その成果がなかなか反映されないものだ。そんなもどかしさを感じたことのある人に是非手にとって欲しい。「デザインなんてこと考えたことない」と断言できる方には特にお薦めな一冊だ。