「査定!」論。
【著者】梅森浩一【発行】PHP研究所
【発行年月】2004年03月31日 【本体価格】1,300円
【ページ数】221p 【ISBN】4-569-63519-9
日本の経営者は、自分たちが平社員の時にどういう視線で物事を、なによりも「上司」を見ていたのかということを、いま一度思い起こすべきでしょう
本書 P97 より抜粋
「1人の給料が上がれば、その分、必ず、誰かの給料が下がるシステム」。この「人の失敗を喜ぶような成果主義」を日本企業に適用してまかり通るのか、という疑問に『「クビ!」論』で話題を呼んだ著者が、外資で鍛え上げられたプロの人事担当者の立場から「査定制度」について書いた本である。
近年「成果主義」と叫ばれ、さまざまな業種の会社が導入を試みている。だが、話題になるのは成功例よりむしろ、失敗例の方が多いのではないだろうか。社員の実力により業績評価をするというシンプルなものであるのに、ここ日本ではどうしてうまくいかないのだろう。
「終身雇用」「年功序列制度」に慣れ親しんできた日本の労働者。だが、時代は変わり、恒常的に利益を生み出せない状況や、自分の業績に見合わない評価に、我慢できなくなってきた若い人材からの押し上げも重なり、経営者は「成果主義」を意識せざるを得なくなった。
そこで日本の企業の多くが、外資系の見よう見真似で導入してみたものの、結局はうまくいかない。理由はいろいろあるが、一つは「フェア」でないところのようだ。例えば「年功序列制度」を残したまま「成果主義」を導入しても、全く機能するはずがない、と著者は看破する。
査定システムで最も重要なのは、「何のために査定するのか」「査定結果がいったい何に結びつくのか」という点が、明確であることなのだという。本来、真っ先になくすべき「年功序列制度」が残っている以上、誰も本気になれないだろうと。
確かに、せっかくできた査定結果も「はじめに結果ありき」ではそもそもうまくいくわけがない。つまり、「成果主義」と「年功序列制度」は両立しないことがわかる。この年功序列の廃止は、年齢や入社年次、性差別や国籍などを含めた「一切の差別を認めない」ことを意味するのだ。
また、著者は日本の「終身雇用制度」についても見解を述べている。「守るべきは終身雇用、なくすべきは年功序列」として「公正な実力主義に基づく終身雇用制度」のあり方も述べている。
このように、本書には「ゼロサム・ゲーム」のような、間違った見解のまま「成果主義」を導入する企業に疑問を投げかけ、「人の幸せをも喜べるような成果主義」とはどういうものなのか、について様々な角度から意見を述べている。優秀な社員を失う前に、ぜひ読んでおきたい一冊だ。
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